IVRのメッセージをAI音声合成で作成!メリットやおすすめソフトを紹介
「IVRの音声ガイダンス、もっと手軽に作成・更新したい」
「ナレーターに依頼するコストと時間が負担になっている」
「急な音声案内の変更に、すぐ対応できず困っている」
企業の電話窓口で活躍するIVR(音声自動応答システム)の運用において、このような課題を抱えていませんか?
実はこれらの課題は、AI音声合成ソフトを活用することで解決できるかもしれません。
この記事では、IVRの音声ガイダンスをAI音声合成で作成する具体的なメリットから、おすすめのソフト、そしてIVR導入を成功させるための基本的な注意点まで、専門的な知見を交えて分かりやすく解説します。
そもそもIVR(音声自動応答装置)とは?

まずはじめに、IVR(Interactive Voice Response)の基本的な仕組みと、混同されがちな「AI IVR」との違いについて確認しておきましょう。
IVR(音声自動応答装置)の仕組み
IVR(音声自動応答装置)とは、お客様からの電話に対して、あらかじめ録音された音声ガイダンスで自動的に応答し、適切な窓口へ振り分けるシステムのことです。
例えば、「製品に関するお問い合わせは1番を、修理のご相談は2番を押してください」といった案内が代表的です。これにより、オペレーターはすべての電話に一次対応する必要がなくなり、本当に有人対応が必要な問い合わせに集中できます。結果として、業務効率の向上と人件費の削減に繋がります。
より詳しいIVRの仕組みについては、こちらの記事もご参照ください。
IVRとAI IVR(AI電話自動応答)との違い
従来のIVRが「事前に設定されたシナリオに沿って、決まった音声で応答する」システムであるのに対し、AI IVRはAI(人工知能)を搭載している点が大きく異なります。
AI IVRは、AIがお客様の発話内容をリアルタイムで認識・解析し、その内容に応じてAI自らが最適な回答を生成して対話を進めることができます。プッシュ操作だけでなく、自由な言葉による問い合わせにも対応できるため、より複雑で幅広い用件を自動で完結させることが可能です。
AI IVR(AI電話自動応答)に関する詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
IVRのメッセージをAI音声合成で作成するメリット
IVRの音声ガイダンスは、これまではプロのナレーターや声優に依頼して作成するのが一般的でした。しかし、AI音声合成技術の進化により、企業が自ら高品質な音声をスピーディかつ低コストで作成できるようになりました。
ここでは、IVRのメッセージをAI音声合成で作成する具体的な4つのメリットを解説します。
メリット①プロのナレーターに依頼するよりコストを抑えられる
最大のメリットは、コスト削減効果です。ナレーターに依頼する場合、依頼料やスタジオ収録費用、修正時の追加料金などが発生し、数万円から十数万円の費用がかかることも珍しくありません。
一方、AI音声合成ソフトの多くは、月額制や文字数に応じた従量課金制を採用しています。必要な時に必要な分だけ利用できるため、特に頻繁にメッセージの更新が発生する企業にとっては、トータルコストを大幅に抑制することが可能です。
メリット②メッセージの即日作成や修正がいつでも可能
ビジネスのスピード感が求められる現代において、情報の即時性は非常に重要です。急な仕様変更の案内や、期間限定のキャンペーン告知など、迅速な対応が必要な場面は多々あります。
ナレーターに依頼する場合、スケジュールの調整やスタジオの確保、納品までの時間が必要となり、即日対応は困難です。AI音声合成なら、テキストを入力するだけですぐに音声ファイルが生成されるため、「今日中に音声を差し替えたい」といった急な要望にも柔軟に対応できます。
メリット③時間や場所を問わず音声ガイダンスを作成できる
AI音声合成ソフトの多くはクラウドベースで提供されており、インターネット環境とPCさえあれば、いつでもどこでも音声ガイダンスを作成・編集できます。
担当者がオフィスにいなくても、自宅や外出先からシステムにログインして作業を進めることが可能です。これにより、テレワークなどの多様な働き方にも対応しやすく、業務の属人化を防ぎ、担当者の負担を軽減する効果も期待できるでしょう。
メリット④多言語対応でインバウンド対策にも有効
グローバル化が進む現代において、多言語対応は多くの企業にとって重要な課題です。AI音声合成ソフトは、日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語をはじめとする数十種類の言語に対応しているものが少なくありません。
言語ごとにナレーターを探して依頼する手間とコストをかけることなく、高品質な多言語の音声ガイダンスを手軽に作成できます。これにより、外国人のお客様や海外の取引先からの電話にもスムーズに対応でき、インバウンド対策や海外事業展開の強力なサポートとなります。
IVRのメッセージを作成するのにオススメのAI音声合成ソフト
「実際にどのソフトを使えば良いのか分からない」という方のために、IVRの音声作成で実績があり、おすすめできるAI音声合成ソフトを6つ厳選してご紹介します。それぞれの特徴を比較し、自社の目的や予算に合ったツールを見つけてください。
①Amazon Polly
「Amazon Polly」は、AWSが提供するクラウドベースの音声合成サービスです。高品質なニューラル音声と標準音声を選択でき、従量課金制でスケーラビリティに優れているのが特徴です。
また、開発者向けの豊富な機能とAPIが用意されており、既存のAWS環境との連携もスムーズに行えます。SSMLによる詳細な音声制御も可能で、大規模なコールセンターシステムや動的な音声生成が求められるIVRの構築に最適であると言えるでしょう。
②Google Cloud Text-to-Speech AI
「Google Cloud Text-to-Speech AI」は、Googleの高度なAI技術を活用した音声合成サービスです。非常に人間らしいWaveNet音声や最新のChirpモデルなど、多様な音声技術を選択できるのが特徴です。
特に会話型AIプラットフォームDialogflowとの連携がスムーズなため、インテリジェントな対話型IVRの構築に強みを発揮することができます。Google Cloud Platform上で開発を行う上で、最適な選択肢と言えるでしょう 。
③ReadSpeaker
「ReadSpeaker」は、法人向けに特化した高品質な音声合成ソリューションです。ディープラーニング技術を駆使し、プロのナレーターを思わせる明瞭で自然な「肉声感」を再現することが可能です。
企業のブランドイメージを体現する独自のカスタムボイス作成サービスに強みを持つほか、JR東日本の新幹線駅構内放送といった公共性の高い分野での豊富な導入実績が、その品質と信頼性を物語っています。
公式サイト:https://readspeaker.jp/
④A.I.VOICE Biz
「A.I.VOICE Biz」は、「琴葉 茜・葵」など人気キャラクターの声を商用利用できる、ユニークな法人向けサービスです。キャラクターが持つIP(知的財産)を活かし、顧客エンゲージメントを高めるIVRを実現することができます。
また、喜怒哀楽の感情表現にも対応しており、より人間味のある案内が可能です。永年ライセンスと月額サブスクリプションという柔軟な料金プランも用意されているため、マーケティングやプロモーション用途に特に向いています。
公式サイト:https://aivoice.jp/biz/
⑤音読さん
「音読さん」は、Webブラウザ上で誰でも手軽に利用できる音声合成ツールです。専門知識がなくても直感的に操作でき、低コストな月額プランが大きな魅力として挙げられます。
中小企業や個人事業主が簡単な音声ガイダンスを作成するのに適していますが、IVRのようにクレジット表記ができない商用利用では有料プランへの加入が必須となるため、その点には注意が必要です。
公式サイト:https://ondoku3.com/ja/
⑥AITalk
「AITalk」は、長年の研究開発に裏打ちされた国産の高性能音声合成エンジンです。独自の日本語解析技術に定評があり、固有名詞なども極めて正確に読み上げることができます。
また、100名を超える豊富な話者ラインナップを誇り、関西弁や喜怒哀楽の感情表現に対応している点も強みです。IVRはもちろん、防災無線といった高い信頼性が求められる分野での採用実績が、その性能を証明しています。
はじめてIVRを導入する際の注意点

AI音声合成はIVR運用の強力なツールですが、その効果を最大限に引き出すには、土台となるIVRシステムそのものの設計が重要です。
これからIVRの導入を検討される場合は、以下の4つの注意点を必ず押さえておきましょう。
注意点①導入の目的を明確にする
「なぜIVRを導入するのか」という目的を具体的に設定することが、成功への第一歩です。
「オペレーターの問い合わせ対応件数を20%削減する」「特定の用件(例:予約受付)を完全に自動化する」など、具体的な数値目標を立てることで、導入すべき機能や設計すべきシナリオが明確になります。
注意点②顧客の視点で分かりやすいシナリオを設計する
IVRを利用するのはお客様です。企業の都合だけを考えた複雑なシナリオは、顧客満足度を低下させる原因となります。専門用語を避け、誰にでも分かりやすい言葉を選ぶことが重要です。
また、選択肢が多すぎるとお客様を混乱させてしまうため、階層は浅く、選択肢は3~4つ程度に絞るのが理想的です。
注意点③オペレーターへの有人接続ルートを必ず用意する
IVRで全ての問い合わせを解決できるわけではありません。複雑な相談や緊急の用件など、AIや自動応答では対応しきれないケースも必ず存在します。「オペレーターにお繋ぎします」といった、有人対応へのスムーズな導線を必ず確保しておきましょう。
お客様が問題解決できずに困り果ててしまう状況を防ぐことは、クレーム防止の観点からも非常に重要です。
注意点④導入後の効果測定と改善を継続して行う
IVRは導入して終わりではありません。どの選択肢が多く選ばれているか、どの段階で電話が切断されているかといったデータを定期的に分析し、改善を続けることが重要です。
「あまり使われていない案内を削除する」「分かりにくい表現を修正する」といった小さな改善の積み重ねが、IVRの効果を最大化し、顧客満足度の向上に繋がります。
IVR+AI音声合成で顧客満足度と業務効率化を同時に実現
この記事では、IVRの音声ガイダンス作成にAI音声合成を活用するメリットやおすすめのAI音声号合成ソフト、そしてIVR導入時の注意点について解説してきました。
AI音声合成を導入することで、これまで時間とコストがかかっていた音声作成業務を劇的に効率化できます。これにより、企業は本来注力すべきコア業務にリソースを集中させることが可能になります。
そして、スピーディで柔軟な音声ガイダンス情報の更新は、結果としてお客様へのサービス品質向上にも繋がります。IVRとAI音声合成の組み合わせは、業務効率化と顧客満足度の向上を同時に実現する、強力なソリューションと言えるでしょう。
はじめてのIVR導入なら「Voiper Dial」がオススメ
「これからIVRを導入したいが、何から始めれば良いか分からない……」
「システム構築や運用に不安がある……」
上記のようなお悩みを抱えている企業様には、株式会社アライブネットが提供するクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」がおすすめです。
「Voiper Dial」は、IVR機能はもちろん、通話録音や顧客情報管理(CRM)連携など、コールセンター業務に必要な機能を網羅したオールインワンのサービスです。専門知識がなくても直感的に操作でき、IVRのシナリオ設定や音声ファイルのアップロードも簡単に行えます。
もちろん、本記事でご紹介したAI音声合成ソフトで作成した音声ファイルをガイダンスとして設定することも可能です。
導入から運用まで、経験豊富なスタッフが丁寧にサポートいたしますので、はじめての方でも安心してご利用いただけます。
はじめてのIVRシステム導入をご検討中の企業担当者様は、「Voiper Dial」の公式サイトをご覧いただくか、アライブネットまでお気軽にお問い合わせください。
