【保存版】コールセンターのCPHとは?9つの改善テクニックも解説

コールセンター全体の生産性が思うように上がらず、悩んでいないでしょうか。
業務改善には、CPH(Call Per Hour)への正しい理解と、自社に合った対策の実行が欠かせません。
ただ、CPHを重視しすぎるあまり、オペレーターが応対を急ぎ、顧客満足度の低下を心配する声もあります。
この記事では、CPHの基礎から生産性が上がらない原因、応対品質を保ちながらCPHを高める9つの施策までを解説します。
読み進めることで、CPHの本質を理解し、自社の課題に対する具体的な改善策を見出せます。ぜひ参考にしてください。
CPHとは?コールセンターの重要指標を解説

CPH(Call Per Hour)は、コールセンターの生産性を客観的に測るための重要なKPI(重要業績評価指標)のひとつです。
しかし、CPHだけ見ても、根本的な課題は見えてきません。CPHを構成する他の指標も併せて理解することで、より的確な改善策を打てるようになります。
CPHの計算方法と関連指標(AHT・ATT・ACW)との関係
CPHとは、オペレーター1人あたり、1時間に何件の電話対応を完了したかを示す指標です。
計算方法は非常にシンプルです。
【CPHの計算式】
「CPH=総処理コール数÷総稼働時間」
例えば、あるオペレーターが6時間稼働し、30件の電話を処理した場合、CPHは「50件÷8時間=6.25」となります。
そして、CPHと密接に関わるのが、1コールあたりの平均処理時間を示すAHT(Average Handling Time)です。AHTは、以下の2つの指標から構成されます。
- ATT(Average Talk Time):平均通話時間
顧客と実際に話している時間
- ACW(Average Call Work):平均後処理時間
通話終了後に行う、対応履歴の入力や事務処理などの作業時間
【AHTの計算式】
「AHT=ATT+ACW」
AHTが短くなれば、1時間あたりに対応できる件数が増えるため、CPHは向上します。つまり、CPHを改善するには、AHT、特にATTかACW、あるいはその両方を短縮する必要があるのです。
CPHの平均的な目安は?
CPHの平均的な目安は一概には示せません。
なぜなら、複雑な案件や、より慎重な対応が求められる場合は1時間に1件程度を目安にする場合もあれば、簡単な内容のアナウンスをするだけだと5件前後を目標にすることもあるからです。
CPHが低いからといって安直にCPH向上だけを目標にしてしまうと、応対品質の低下を招いてしまう可能性があります。自社の実情を加味して、適切な目標値を設定するようにしましょう。
コールセンターのCPHが上がらない理由とは?3つの低下要因
CPHが目標値に届かないときの原因は、オペレーター個人のスキルだけでなく、業務プロセスやシステムなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
コールセンターのCPHが上がらない理由は主に以下の3つが挙げられます。
- 【オペレーター要因】スキル・知識不足とモチベーションの低下
- 【環境・プロセス要因】非効率な業務フローとナレッジ不足
- 【システム要因】ツール非導入による情報の分断やツール活用不足
それぞれの要因について以下で解説します。
【オペレーター要因】スキル・知識不足とモチベーションの低下
CPHが上がらない最も直接的な要因は、オペレーターのスキルや知識の不足です。
例えば、タイピングスキルが低いとACW(平均後処理時間)が長くなりますし、製品知識が乏しいと回答に時間がかかりATT(平均通話時間)が伸びてしまいます。
また、保留やSV(スーパーバイザー)への確認(エスカレーション)が頻発するのも、知識不足が原因であることが多いです。
さらに、評価制度が不明確であったり、業務負荷が高すぎたりすると、オペレーターのモチベーションが低下します。
その結果、応対品質が下がり、CPHの悪化につながるという悪循環に陥ります。
【環境・プロセス要因】非効率な業務フローとナレッジ不足
オペレーターが能力を最大限に発揮できない背景には、非効率な業務環境やナレッジ不足が隠れている場合があります。
典型的な例が、FAQやマニュアルが整備されていない、あるいは情報が古いままで更新されていないケースです。
その結果、オペレーターは必要な情報を探すのに時間がかかり、ATTやACWを圧迫します。
また、SVへのエスカレーションルールが曖昧で、判断を待つ時間が長い、担当者への引き継ぎがスムーズに行えないなどの業務フローの問題も、CPH低下の大きな要因です。
情報の属人化が進み、特定のオペレーターしか対応できない状況も改善すべき課題といえます。
【システム要因】ツール非導入による情報の分断やツール活用不足
現代のコールセンターにおいて、適切なシステムの導入は生産性に直結します。
CTIシステムが導入されておらず、電話機能と顧客情報が分断されている状態では、着信のたびに手作業で顧客情報を検索する必要があり、大きなタイムロスが発生します。
また、システムを導入していても、その機能を十分に活用できていないケースもあるでしょう。
例えば、多くのCTIシステムには、通話内容の分析機能やオペレーターの稼働状況を可視化するレポート機能が備わっています。
これらのデータを活用して課題を特定し、改善につなげるサイクルが回せていない場合、システムは宝の持ち腐れとなってしまいます。
CPHを上げるには?品質を落とさず生産性を上げる9つの施策

CPHの改善は、単に通話時間を短くすることだけではありません。
応対品質を維持、あるいは向上させながら、いかに効率的な対応を実現するかが重要です。
ここでは、オペレーターのスキル向上、業務環境とプロセスの最適化、ツール活用の3つの観点から、CPHを上げるための具体的な9つの施策をご紹介します。
オペレーターのスキルを向上させる施策3選
オペレーターのスキルを向上させる施策は、主に以下の3つです。
- 定期的な研修の実施
- トークスクリプトの改善とロープレ
- 通話録音を活用した具体的なコーチング
オペレーターのスキルアップはCPH改善の基本です。タイピング速度を上げる研修や、自社製品・サービスに関する知識を深める勉強会を定期的に実施しましょう。知識が深まれば、顧客への説明がスムーズになりATT短縮につながります。
次に、トークスクリプトの改善とロールプレイングです。トークスクリプトは、応対品質を標準化し、ATTを短縮するための強力なツールです。よくある質問への回答パターンを充実させ、常に内容をアップデートしましょう。
また、トークスクリプトを使ったロールプレイングを繰り返し行えば、オペレーターは自信をもって応対に臨めます。
最後に、優れたオペレーターの通話録音を活用したコーチングです。CPHが高いオペレーターの通話録音は、生きた教材です。応対のどこが優れているのか(話の進め方、質問への切り返し方など)を具体的に分析し、他のオペレーターと共有しましょう。
個別のフィードバックを行えば、一人ひとりの課題に合わせた効果的なスキルアップが期待できます。
業務環境とプロセスを最適化する施策3選
業務環境とプロセスを最適化する施策は、主に以下の3つです。
- FAQシステムの構築と自己解決の促進
- マニュアルの常時最新化と情報の属人化防止
- エスカレーションルールの明確化
まず、FAQシステムの構築を行い自己解決を促進させましょう。オペレーターが不明点をすぐに自己解決できる環境を整えると、ATTとACWの両方の削減につながります。
よくある質問と回答を網羅したFAQシステムを構築し、検索しやすいように整理しましょう。結果として、保留やSVへのエスカレーションが減り、スムーズな顧客対応が実現します。
次に、マニュアルを常に最新に保ち、情報の属人化を防ぎましょう。業務マニュアルや応対フローは、一度作って終わりではありません。
新しいサービスやキャンペーンが始まったり、業務ルールが変更されたりした際は、速やかにマニュアルを更新する体制を構築しましょう。
情報が常に最新かつ一元化されていれば、オペレーター間の知識のばらつきがなくなり、応対品質の標準化と効率化につながります。
最後に、エスカレーションルールを明確にし、判断に迷う時間を減らすことが大切です。オペレーターが自分で判断できない問題が発生した際に、誰に、どのような手順で助けを求めるのか、エスカレーションルールを明確に定めておきましょう。
判断基準やフローが明確であれば、オペレーターが一人で抱え込んだり、SVを探して待ったりする無駄な時間がなくなり、問題解決までの時間を短縮できます。
ツール活用による施策3選
ツール活用による施策は、主に以下の3つです。
- CTIシステムの導入
- プレディクティブコールの導入
- AI機能の活用
まず、CTIシステムの導入です。CTIシステムとは、電話とコンピューターが一体化したシステムを指します。CTIシステムには、電話業務に関するさまざまな業務効率化の機能が搭載されています。
例えば、着信時に顧客情報が自動でPC画面に表示されるため、本人確認や情報検索の手間が省け、ATTを大幅に短縮可能です。
また、顧客情報を見ながら通話できるため、よりパーソナライズされた質の高い応対ができます。
次に、アウトバウンド業務の架電効率を最大化するプレディクティブコールの導入です。アウトバウンド業務が中心の場合、プレディクティブコール機能が非常に有効です。
システムが自動でリストの相手に発信し、つながった電話だけをオペレーターに接続するため、オペレーターは発信操作や呼び出し中の待ち時間から解放され、通話に専念できます。これにより、架電効率が飛躍的に向上し、CPHの大幅な改善が見込めます。
最後に、AI機能の活用です。近年、コールセンターシステムのAI活用が急速に進んでいます。特に、ACWの削減に絶大な効果を発揮するのが、AIによる通話の自動文字起こしや要約機能です。
オペレーターは通話終了後にゼロから対応履歴を作成する必要がなくなり、AIが生成した要約を確認・修正するだけで済むため、後処理時間を劇的に短縮できます。
CPH改善で陥りがちな注意点|顧客満足度とのバランスが重要
CPHの改善に取り組む際、最も注意すべきなのは「数字だけを追い求めない」ことです。
CPHを上げること自体が目的化してしまうと、オペレーターは1件でも多く処理しようと、顧客の話を十分に聞かずに通話を切り上げたり、後処理を疎かにしたりするようになる可能性があります。
上記の応対は、顧客満足度の低下に直結します。
一時的にCPHが向上したとしても、問題が解決しなかった顧客からの再入電が増えれば、結果的にコールセンター全体の業務量は増えてしまい、本末転倒です。
あくまで生産性を測るための一つの指標と捉え、応対品質や顧客満足度など、他の重要指標と併せて、総合的にコールセンターのパフォーマンスを評価することが、健全な運営には欠かせません。
コールセンターのCPH向上ならアライブネットにお任せください!
今回の記事では、CPHを改善するための具体的な施策を解説しました。
しかし、本当の意味での生産性向上は、単なるテクニック論だけでは実現できません。
アライブネットは、電話業務に関するお客様の課題を解決する「コールソリューション企業」として、CPH改善のその先を見据えたご提案をいたします。
弊社のクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」は、プレディクティブ発信やCRM(顧客管理システム)連携といった基本的な機能に加え、自動議事録作成などのAI機能で業務効率化を図れます。
CPHの数値を改善するだけでなく、創出した時間でより質の高い顧客対応を行い、最終的に企業の収益向上に貢献する。
アライブネットは、そのような本質的なコールセンター改革を、技術とノウハウで力強くサポートします。
まとめ
今回の記事では、コールセンターの重要指標であるCPHについて、その計算方法から改善策、注意点までを網羅的に解説しました。
CPHは、コールセンターの生産性を測るうえで欠かせない指標ですが、その数値だけを追い求めるのは危険です。
応対品質とのバランスを取りながら、以下の3つの観点から総合的に改善策を講じることが成功の鍵となります。
- オペレーターのスキルアップ
- 業務環境とプロセスの最適化
- CTIシステムやAIといったツールの戦略的活用
特に、AI機能を活用したACW(後処理時間)の削減は、今後のコールセンター運営において不可欠な要素となるでしょう。
アライブネットでは、AI搭載のクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」をはじめ、お客様の課題に合わせた最適なソリューションをご提案します。
コールセンターの生産性向上にお悩みなら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。