コールセンターにおけるKPIとは?重要性や具体的な指標を解説

コールセンターの業務効率や成果を高めたいと考えたとき、「どのようにKPIを設定すればよいのか」と悩む方は少なくありません。
KPIにはさまざまな種類があり、適切に設定できていないと、業務改善の効果が見えづらくなったり、期待した成果につながらなかったりするリスクがあります。一方で、正しくKPIを設定できれば、自社の課題を明確化し、改善のための具体的なアクションを取ることが可能になります。
本記事では、コールセンターにおけるKPIの基本的な意味や重要性をわかりやすく解説し、アウトバウンド業務・インバウンド業務それぞれで役立つ具体的なKPI指標を紹介します。 自社コールセンターのパフォーマンス向上に向けて、ぜひ参考にしてください。
コールセンターにおけるKPIとは?

コールセンターの業務を改善するには、何をどのように測定すべきかを明確にする必要があります。 その基準として活用されるのがKPIです。
KPIは、目標達成度や業務パフォーマンスを数値で把握するための指標であり、コールセンターの現状を客観的に評価し、改善につなげるために欠かせない要素です。
ここでは、KPIの基本的な意味と、コールセンター業務においてKPIがなぜ重要なのかをわかりやすく解説します。
KPIの意味
KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。 ビジネスにおいて、設定した目標にどの程度近づいているかを定量的に測定するための指標です。
例えば、「売上〇〇円を達成する」というゴールを掲げた場合、その達成度を把握するために売上件数や成約率などをKPIとして設定し、進捗を数値で確認できるようにします。
KPIを設定することで、感覚や経験に頼らず、具体的なデータに基づいた改善活動が可能になります。 また、目標達成までの過程を可視化できるため、PDCAサイクルをスムーズに回せることも大きなメリットです。
このように、KPIはコールセンターに限らず、あらゆるビジネスシーンで重要な役割を担う指標であり、組織が成長を続けるためには適切なKPI設定が欠かせません。
コールセンターにおけるKPI
コールセンターにおけるKPIは、単なる目標設定にとどまらず、業務改善や品質向上に直結する重要な役割を果たします。
例えば、応対品質や顧客満足度は感覚だけで正確に評価するのが難しい項目です。そこでKPIを設定すれば、応答率や平均処理時間といった数値でオペレーターのパフォーマンスを客観的に把握できるようになります。
これにより、良い点や改善すべき点を明確にし、具体的で的確な改善策を講じることが可能になります。 また、オペレーター自身にとってもKPIは、自分の目標を数値で把握できる指標となるため、日々の業務で意識すべきポイントが明確になり、モチベーション向上につながります。
さらに、管理者にとってもKPIは重要な管理ツールです。個人別・チーム別のパフォーマンスを可視化できるため、適切な指導やサポートが行いやすくなり、マネジメントの質を高められます。
このように、コールセンターにおいて正しくKPIを設定することは、業務効率化と品質向上を同時に実現するための欠かせない取り組みです。
KPIとKGIの関係
KPIとよく混同されやすい用語に「KGI」があります。 KGIとは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれ、ビジネスにおける最終的なゴールを数値で表す指標のことです。主に、売上や顧客満足度などの最終目標がこれに該当します。
一方、KPIはKGIを達成するために必要な途中経過を数値で管理する指標です。たとえば、「年間売上1億円を達成する」というKGIを掲げた場合、そのプロセスを具体化するために「1日の受注件数」や「顧客対応数」といった複数のKPIを設定し、進捗を管理します。
KGIを正しく設定できていないと、努力の方向性がずれ、最終成果につながらないリスクが生じます。 また、KPIが不適切であれば、日々の活動が的外れになり、どれだけ努力を重ねても目標に届かない可能性があります。
このように、KGIとKPIを適切に組み合わせることは、コールセンターをはじめとするあらゆるビジネスの成果向上に欠かせない重要な取り組みです。
コールセンターのアウトバウンドにおけるKPI指標

コールセンターのアウトバウンド業務では、営業やアポイント獲得を目的とした電話発信をおこないます。成果を上げるためには、適切なKPI指標を設定し、現状を可視化しながら改善していくことが不可欠です。ここでは、アウトバウンド業務における主要なKPI指標について詳しく解説します。
アウトバウンドのKPI指標①架電数
架電数とは、オペレーターが顧客に対して発信した電話の件数を指す指標です。 通常は、1時間や1日で架電した件数を稼働時間で割って算出し、オペレーターの活動量を数値化します。
架電数を把握することで、どの程度の件数にアプローチできているかを定量的に確認でき、業務量の目安として重要なKPIとなります。
ただし、件数だけを追い求めると、内容が不十分になったり、質の低いアプローチが増えたりするリスクがあります。 そのため、架電数はあくまで活動量を測る指標と捉え、成約率や商談化率など他のKPIと組み合わせて評価することが重要です。
また、適切な目標件数をあらかじめ設定し、量と質のバランスを保ちながら運用することで、効率的で成果につながる架電活動が可能になります。
アウトバウンドのKPI指標②コンタクト率
コンタクト率とは、架電した件数のうち実際に顧客と通話できた割合を示す指標です。 計算方法は、「顧客と通話できた件数 ÷ 架電数」で求められ、アウトバウンド業務の効率を測る重要なKPIの一つです。
コンタクト率を高めるためには、架電リストの精度を上げることや、顧客が電話に出やすい時間帯を狙って架電する工夫が必要です。 例えば、法人への架電では、始業直後や昼休憩、終業直前の時間帯はつながりにくい傾向があるため、それらを避けるだけでも成果が向上しやすくなります。
また、以前にやり取りしたことがある顧客であっても、企業側の信頼度や事前にアポイントを取っているかどうかによって、通話につながる可能性は大きく変わります。 こうした要素を考慮し、タイミングやアプローチ方法を最適化することで、コンタクト率を着実に改善することができます。
アウトバウンドのKPI指標③稼働率
稼働率とは、オペレーターが勤務時間の中で実際に顧客対応に使った時間の割合を示す指標です。 計算式は、
「(通話時間 + 保留時間 + 後処理時間) ÷ オペレーターの総労働時間」
で求められます。
この指標が高いほど、オペレーターが業務にしっかり集中できていることを示します。 ただし、極端に稼働率が高すぎる場合は、休憩やリフレッシュの時間が十分に確保できていない可能性があり、ストレスや疲労の蓄積によるパフォーマンス低下を招く恐れがあります。
そのため、適正な稼働率を維持するには、無理のないスケジュール管理と適度な休憩時間の設定が欠かせません。 オペレーターが働きやすい環境を整えることで、心身の負担を軽減しながら生産性の向上につなげることができます。
アウトバウンドのKPI指標④成約率
成約率とは、オペレーターが架電した件数のうち、実際に成約に至った割合を示す重要な指標です。 計算式は、
「成約件数 ÷ 架電数」
で求められます。
この数値を高めるためには、単に発信数を増やすだけでは不十分です。トークスクリプトの精度を高め、顧客のニーズや課題を的確に把握したうえで、相手に寄り添った提案を行うことが鍵となります。 適切なタイミングで相手の関心に合った提案をできれば、成約率の向上が期待できます。
一方、成約率が低い場合は、架電リストの質を見直したり、オペレーターのスキル向上を図ったり、トーク内容を改善したりするなど、複数の観点から原因を分析し、改善策を講じる必要があります。 このように、量だけでなく質を重視したアプローチが、成約率を高めるカギとなります。
アウトバウンドのKPI指標⑤CPC
CPC(コスト・パー・コール)とは、架電1件あたりにかかるコストを示す指標です。 計算式は、
「コールセンターの総運営コスト ÷ 架電数」
で求められます。
運営コストには、オペレーターや管理者の人件費、通信費、設備費など、コールセンターを運営するうえで発生するすべての費用が含まれます。 このCPCが低いほど、限られたコストで多くの架電ができており、効率的に運営できていると判断できます。逆にCPCが高い場合は、人員配置やリスト精度、システム運用などを見直し、コスト削減や効率化を図る必要があります。
CPCを意識した運営を行えば、単に成果件数を追うだけでなく、利益率の向上にもつながります。 費用対効果を常に把握しながら改善を続けることで、より健全で持続的なコールセンター運営が可能になります。
コールセンターのインバウンドにおけるKPI指標

コールセンターのインバウンド業務は、顧客からの問い合わせやサポート対応を通じて、企業の印象や満足度を左右する重要な役割を担います。そのため、適切なKPIを設定し、サービス品質を数値で管理することが欠かせません。ここでは、インバウンド業務における代表的なKPI指標をご紹介します。
インバウンドのKPI指標①応答率
応答率とは、コールセンターに着信した電話のうち、実際にオペレーターが対応できた件数の割合を示す指標です。 計算式は、
「応答件数 ÷ 着信件数」
で求められます。
一般的には、応答率90%以上を目標値とすることが推奨されています。 十分な人数を配置できれば高い応答率を維持しやすくなりますが、逆に応答率が低下すると、顧客満足度の低下や機会損失につながる可能性が高くなるため注意が必要です。
高い応答率を維持するには、適切なシフト管理やリアルタイムの稼働状況把握による人員配置が効果的です。 また、IVRの導入やFAQの活用など、着信の分散・効率化を図る仕組みを整えることも有効な対策となります。
インバウンドのKPI指標②放棄率
放棄率とは、コールセンターに着信した電話のうち、オペレーターにつながる前に顧客が電話を切ってしまった割合を示す指標です。 計算式は、
「放棄呼数 ÷ 着信件数」
で求められます。
放棄が発生する主な原因には、待ち時間の長さやオペレーターの人員不足が挙げられ、システムの自動切断によるケースも含まれます。 放棄率が高い状態が続くと、顧客満足度の低下やクレームの発生リスクが高まり、機会損失にもつながるため、できる限り低く抑えることが重要です。
改善のためには、待ち時間を短縮できる仕組みづくりや、ピーク時間帯に合わせた人員増強、IVR(自動音声応答)による効率的な振り分けなどを導入することが効果的です。
放棄呼については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
インバウンドのKPI指標③NPS(顧客推奨度)
NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)とは、顧客が自社の商品やサービスを他の人にどの程度推薦したいと考えているかを数値化した指標です。 計算式は、
「(推奨者数 − 批判者数) ÷ 全体数」
で求められます。
NPSが高いほど、顧客からの信頼や満足度が高いことを示し、リピーターや口コミによる新規顧客獲得にもつながりやすい状況であると判断できます。 特に、インバウンド業務を担うコールセンターでは、オペレーターの対応品質がNPSに直結するため、非常に重要な指標です。
NPSを活用するには、アンケート調査や顧客フィードバックの収集を定期的に行い、結果を継続的にモニタリングすることが欠かせません。 こうしたデータをもとに、サービス内容や対応プロセスを改善すれば、顧客満足度の向上とロイヤルティ強化に役立ちます。
インバウンドのKPI指標④CS(顧客満足度)
CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)とは、コールセンターやオペレーターの対応に対して顧客がどの程度満足しているかを示す指標です。 アンケートやフィードバックフォームなどを活用し、直接顧客から意見を収集することで、満足度を定量的に把握します。
CSに影響を与える要素は多岐にわたり、通話までの待ち時間、オペレーターの対応態度や説明のわかりやすさ、問題解決までにかかるスピードなどが主なポイントです。これらの要素が改善されれば、自然と顧客の満足度も向上します。
また、応答率や放棄率、NPSなどの他のKPIを改善することで、間接的にCSを高めることも可能です。 定期的に顧客満足度を測定し、結果を分析して改善施策につなげることが、コールセンターのサービス品質向上に直結します。
CSについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
インバウンドのKPI指標⑤SL(サービスレベル)
SL(Service Level/サービスレベル)とは、コールセンターに着信があった電話のうち、あらかじめ設定した一定時間内にオペレーターが応対できた件数の割合を示す指標です。 計算式は、
「設定時間内に応対できた件数 ÷ 着信件数」
で求められます。
一般的には、「20秒以内に80%応答」などの目標値を設定し、その基準を満たせているかを運用の目安とします。サービスレベルが低下すると、応答率の悪化や放棄率の上昇につながり、顧客満足度の低下や機会損失のリスクが高まるため、KPIの中でも特に重視される項目です。
サービスレベルを向上させるには、人員配置の最適化、シフト調整、IVRの活用などを行い、着信に迅速かつ確実に対応できる体制を整えることが重要です。
インバウンドのKPI指標⑥ASA(平均応答速度)
ASA(Average Speed of Answer:平均応答速度)とは、顧客がコールセンターに電話をかけてから、オペレーターが応答するまでにかかった平均時間を示す指標です。 計算式は、
「応答までにかかった時間の合計 ÷ 着信件数」
で求められます。
ASAが短いほど、顧客が待たされずにスムーズな対応を受けられていることを示し、満足度の向上につながります。 一方で、ASAが長い場合は、待ち時間の長さによって顧客が電話を切ってしまう放棄率の上昇や、CS(顧客満足度)の低下を招くリスクがあるため注意が必要です。
ASAを改善するには、応答率やサービスレベル(SL)とあわせて指標を管理し、適正な人員配置やシフト調整を行うことが重要です。
インバウンドのKPI指標⑦CPH(通話処理件数)
CPH(Calls Per Hour:通話処理件数)とは、1時間あたりに1人のオペレーターが処理できた通話件数を示す指標です。 計算式は、
「オペレーターの1日の対応件数 ÷ 稼働時間」
で求められます。
この数値が高いほど、オペレーターが効率的に業務をこなしていることを意味します。 ただし、件数だけを重視しすぎると、対応の質が下がったり、顧客満足度が低下したりするリスクがあるため注意が必要です。
そのため、CPHはあくまで生産性を測る指標の一つとして活用し、応答率やCS(顧客満足度)、成約率など他のKPIとバランスを取りながら評価することが重要です。
CPHについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
インバウンドのKPI指標⑧ATT(平均通話時間)
ATT(Average Talk Time:平均通話時間)とは、オペレーターが1件の通話対応にかけた平均時間を示す指標です。 計算式は、
「通話時間の合計 ÷ 対応件数」
で求められます。
この数値が長すぎる場合、1件あたりの対応に時間がかかりすぎている可能性があり、他の顧客の待ち時間が増え、結果として放棄率の上昇や顧客満足度の低下につながるリスクがあります。
一方で、ATTが極端に短い場合は、対応内容が不十分であったり、顧客が求める情報や解決策を提供できていない懸念が生じます。
そのため、顧客に寄り添いながらも無駄のない会話を意識し、適度な通話時間を保つことが重要です。 また、FAQシステムやスクリプトの活用により、品質を維持しながら対応時間を最適化することができます。
インバウンドのKPI指標⑨ACW(平均後処理時間)
ACW(After Call Work:平均後処理時間)とは、オペレーターが通話終了後に行う情報入力や対応内容の記録にかかる平均時間を示す指標です。 計算式は、
「後処理時間の合計 ÷ 対応件数」
で求められます。
ACWが長くなると、次の対応開始までに時間がかかり、結果として全体の生産性を低下させる要因となります。この時間を短縮するには、システムの最適化や入力項目の簡素化、テンプレートの活用などの工夫が効果的です。
また、後処理は通話と同様に重要な業務プロセスの一部であるため、効率化を進めつつ記録の正確性を保つことが大切です。
インバウンドのKPI指標⑩AHT(平均処理時間)
AHT(Average Handling Time:平均処理時間)とは、1件の対応にかかる時間の平均を示す指標で、通話開始から後処理が完了するまでの時間を含みます。 計算式は、
「ATT(平均通話時間)+ACW(平均後処理時間)」
で算出されます。
AHTは、コールセンター全体の対応効率を把握するうえで非常に重要なKPIです。 適切な水準に保たれていれば、顧客の待ち時間を短縮できるだけでなく、オペレーターの負担軽減にもつながり、結果として顧客満足度の向上にも寄与します。
AHTを改善するには、オペレーターのスキルアップ、FAQやスクリプトの活用、システムの最適化による処理時間の短縮などが効果的です。 適正なAHT管理を行うことで、サービス品質と生産性の両立を実現し、コールセンター全体のパフォーマンスを向上させることができます。
コールセンターのKPI向上はアライブネットで

コールセンターのKPIを向上させ、業務効率化を実現するには、CTIシステムの導入が非常に効果的です。 CTIシステムとは、電話とコンピューターを連携させ、着信の管理や通話内容の記録、顧客情報の表示などをパソコン上で一元的に行えるツールです。
アライブネットが提供するCTIシステム「Voiper Dial」には、通話録音、自動発信、詳細なレポート機能などが搭載されており、オペレーターのスキル向上と生産性向上に大きく貢献します。 さらに、応対状況や改善ポイントをスムーズに把握・管理できるため、PDCAサイクルを高速化し、継続的な業務改善を実現できる点が強みです。
また、アライブネットでは、IP回線を活用した電話サービス「AliveLine」も提供しており、毎月の通話料をおおよそ20%~70%削減することが可能です。 コールセンターでは毎日多数の発信・受信業務が行われるため、通話コストの削減効果は大きなメリットとなります。
コストを抑えつつ、コールセンター業務の効率化やKPIの改善を本格的に進めたいとお考えの企業にとって、アライブネットのVoiper DialとAliveLineは強力なサポートツールとなります。 コールセンターの生産性向上を目指すなら、ぜひ一度アライブネットにご相談ください。