海外からの着信を拒否!放置リスクと固定電話への迷惑電話対策も解説
会社の固定電話に、見知らぬ海外からの着信があり、出ても問題ないか悩んだことはありませんか。海外からの着信は、迷惑電話の可能性が高く、無視しても頻繁にかかってくる場合があります。オフィスの固定電話における海外からの迷惑電話は、適切な対策を講じることで拒否し、業務効率を取り戻すことが可能です。
今回の記事では、海外からの着信の正体や放置するリスク、固定電話で拒否するための具体的な対策などを解説します。記事をお読みいただければ、無駄な電話対応を減らし、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えられるようになるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
「+」から始まる電話番号は海外からの着信

オフィスの固定電話や従業員の携帯電話に、「+1」や「+86」など、「+」から始まる着信履歴が残っていて不思議に思ったことはありませんか。この「+」から始まる番号は、国際電話であることを示しています。日本の電話番号は「0」から始まりますが、国際電話では国ごとに割り当てられた「国番号」が先頭に付く仕組みです。
例えば、アメリカなら「+1」、中国なら「+86」といった具合です。近年、この国際電話番号を利用した迷惑電話が急増しており、個人だけでなく多くの企業がその対応に苦慮しています。
心当たりがないにもかかわらず着信があった場合、それは間違い電話ではなく、悪質な詐欺や営業電話である可能性が極めて高いといえます。まずは、代表的な国番号と地域を把握し、着信時にどの国からの電話かを判別できるようにしておくことが大切です。
| 国番号 | 国・地域 |
|---|---|
| +1 | アメリカ、カナダ |
| +44 | イギリス |
| +60 | マレーシア |
| +63 | フィリピン |
| +86 | 中国 |
取引先や支社がこれらの国にない場合、業務に関係する電話である可能性は低いと考えられます。従業員に対して「+から始まる番号には出ない、折り返さない」というルールを周知するだけでも、初期的な対策として有効です。
海外からオフィス固定電話にかかってくる理由
海外からの着信が増加している背景には、発信者側に明確な目的があります。単なるいたずらではなく、金銭や情報を騙し取ろうとする悪意あるケースが大半です。ここでは、主な3つの目的について解説します。敵の手口を知ることは、適切な防御策を講じるための第一歩となります。
理由①国際ワン切り詐欺(コールバック詐欺)
最も多い手口の一つに、「国際ワン切り詐欺」が挙げられます。これは、ワンコールやツーコールといった短い時間で電話を切り、着信履歴だけを残す手法です。履歴を見た人が「重要な電話かもしれない」と思って折り返し電話をかけることを狙っています。
もし折り返してしまうと、国際通話料金が発生するだけでなく、接続先が高額な情報料を請求する有料番組などに繋がれる場合があります。犯罪グループは、電話会社からキックバック(報酬)を得る仕組みを作っており、かけ直した人の通話料の一部が彼らの利益となるのです。
オフィスの電話は、顧客や取引先からの連絡を逃さないよう、履歴に対して折り返しを行う習慣がついている企業も多いでしょう。詐欺グループはそこを突き、無差別に大量の発信を行っています。「見覚えのない国際電話には折り返さない」という基本ルールを徹底しなければ、会社として無駄なコストを支払うことになりかねません。
理由②情報収集や嫌がらせ
詐欺以外にも、企業の情報を収集したり、業務を妨害したりする目的で電話がかかってくることもあります。例えば、行政機関や取引先を装い、従業員の個人情報や組織図、決裁者の名前などを巧みに聞き出そうとするケースです。海外の番号からであっても、流暢な日本語で話しかけてくる場合があり、油断はできません。
また、国際的な情勢や社会問題に便乗し、特定の国や地域から日本の企業に対して抗議や嫌がらせの電話が殺到することもあります。このような場合、電話回線がパンクし、通常の業務が一切行えなくなる深刻な事態も想定されます。不審な電話に対しては、相手の所属や名前、用件を詳細に確認し、安易に情報を渡さないよう警戒が不可欠です。
理由③架空請求や振り込め詐欺
海外からの電話を利用した、架空請求や振り込め詐欺も依然として横行しています。「未納料金がある」「法的措置を取る」といった自動音声ガイダンスを流し、不安を煽って指定の番号へ連絡させたり、金銭を振り込ませたりする手口です。
最近では、実在する公的機関や有名企業を名乗るケースも増えており、手口が巧妙化しています。オフィスの電話であれば、経理担当者などを狙い撃ちにして、「至急対応が必要な支払いがある」と信じ込ませようとする事例も少なくありません。海外からの着信で金銭の話が出た場合は、即座に電話を切り、社内で情報を共有するといった毅然とした対応が重要です。
海外からの着信が無くならないのはなぜ?
「これほど迷惑しているのに、なぜ取り締まれないのか」と疑問に思う方も多いことでしょう。海外からの迷惑電話がなくならない最大の理由は、国内法での規制や取り締まりが及ばない点にあります。
日本国内で電話番号を取得する場合、本人確認が厳格に義務付けられています。しかし、海外では国によって規制の緩さが異なり、身元を隠したまま電話番号を取得することが容易なケースも少なくありません。
さらに近年では、インターネット回線を利用して通話を行うアプリやサービスの普及により、海外の電話番号を簡単に入手できるようになりました。犯罪グループはこれらのサービスを悪用し、発信元を偽装したり、短期間で次々と番号を変えたりしながら電話をかけてきます。日本の警察権が及ばない海外拠点を経由されると、発信者を特定し、摘発することは極めて難しいのが現状です。
こうした背景から、海外からの迷惑電話を根絶することは困難であり、企業側で「かかってきた電話をどう防ぐか」という自衛策を講じることが不可欠といえます。
海外からの着信を放置する4つのリスク
「たまにかかってくる程度なら無視すればいい」と考えていると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があるため注意が必要です。迷惑電話を放置することは、単に煩わしいだけでなく、企業の経営に直結する具体的なリスクをはらんでいます。ここでは、企業が認識しておくべき4つのリスクについて解説します。
リスク①生産性の低下
頻繁に電話が鳴る環境は、従業員の集中力を削ぎ、生産性を著しく低下させます。たとえ1回の対応時間が短くても、電話が鳴るたびに作業の手を止め、受話器を取り、不審な電話であることを確認して切るという一連の動作が発生します。
また、悪質な電話対応で嫌な思いをすれば、精神的なストレスも蓄積していくでしょう。「電話に出るのが怖い」「業務が進まない」といった不満が溜まれば、職場の雰囲気は悪化し、モチベーションの低下を招きかねません。組織的な攻撃を受けた場合は、電話回線が塞がり続け、事実上の営業妨害状態となることも懸念されます。
リスク②高額な通話料・詐欺被害の発生
国際ワン切り詐欺への折り返しは、高額な通話料請求に直結します。従業員が悪気なく「お客様かもしれない」と思って折り返してしまった場合、そのコストは会社が負担することになります。数分間の通話で数千円、場合によっては数万円の請求が来ることもあり得るでしょう。
また、架空請求詐欺に引っかかり、会社の資金を騙し取られるリスクもゼロではありません。特に、経理担当者や決裁権を持つ人がターゲットにされた場合、被害額が甚大になる恐れがあります。金銭的な損失を防ぐためにも、不審な着信に対する社内ルールの徹底と、物理的な着信拒否対策が必要です。
リスク③重要な顧客対応の機会損失
迷惑電話によって回線がふさがっている間は、本来つながるはずの顧客からの電話がつながらなくなります。「話し中」が頻発すれば、顧客は不便を感じ、不満を抱くでしょう。最悪の場合、競合他社へ流れてしまい、貴重なビジネスチャンスを失う結果につながります(機会損失)。
また、電話がつながりにくい状況は、顧客満足度の低下にも影響します。「サポートが手厚い」という評判を築いていても、電話がつながらなければその価値を提供できません。限られた回線リソースを有効活用するためにも、不要な着信を遮断し、顧客との通話のために回線を空けておく必要があります。
リスク④情報漏洩リスクの発生
海外からの電話の中には、ソーシャルエンジニアリングの手法を用いて、機密情報を盗み出そうとするものも存在します。ソーシャルエンジニアリングとは、人間の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで情報を入手する手法のことです。例えば、取引先のふりをして「緊急の案件で担当者の携帯番号を知りたい」「請求書の送付先を確認したい」などと連絡してくるケースが該当します。
電話口の相手を信用してうかつに情報を話してしまうと、それがきっかけでシステムへの不正アクセスや、さらなるなりすまし詐欺に利用される恐れがあります。情報漏洩は企業の社会的信用を失墜させる重大な事故です。海外からの着信に対して警戒心を持ち、安易に情報を出さない体制を作ることが求められます。
オフィスの固定電話で海外からの着信を拒否する4つの方法

ここまで見てきたように、海外からの着信を放置することは多くのリスクを伴うものです。では、具体的にどのような方法で着信を拒否すればよいのでしょうか。ここでは、オフィスの固定電話で実施できる4つの対策を紹介します。導入のしやすさやコスト、効果の高さなどを比較し、自社に合った方法を検討してください。
方法①ビジネスフォン本体の「着信拒否登録」
現在オフィスで使用しているビジネスフォン(多機能電話機)に、着信拒否機能が搭載されている場合は、それを活用するのが最も手軽な方法です。一般的に、端末の操作で特定の電話番号を「拒否リスト」に登録することで、次回からその番号からの着信音を鳴らさずに切断できます。
ただし、この方法には限界があります。多くのビジネスフォンでは、登録できる件数に上限があるため、次々と番号を変えてかけてくる迷惑電話には対応しきれないケースも少なくありません。
また、電話機ごとに設定が必要な場合もあり、台数が多いオフィスでは管理の手間がかかってしまいます。「同じ番号から何度もかかってくる」といった特定の相手への対策としては有効ですが、無差別にかかってくる海外電話への根本的な解決策としては不十分かもしれません。
方法②通信事業者の「迷惑電話拒否サービス」
NTT東日本・西日本などの通信事業者が提供している、迷惑電話対策のオプションサービスを利用する方法です。「迷惑電話おことわりサービス」などの名称で提供されています。迷惑電話を受けた直後に「144」でダイヤルすることで、その番号を拒否リストに登録可能です。以降、同じ番号からかかってくると、自動音声で「お断り」のガイダンスが流れ、電話機は鳴りません。
電話機を買い替える必要がなく、回線側の設定で対策できるのがメリットといえます。しかし、こちらも登録件数に上限(最大30件程度など)があるケースが多く、月額利用料が回線ごとに発生するため、コスト面での検討が必要になります。
方法③国番号指定で国際電話を一斉拒否する
一部のビジネスフォンには、特定の「国番号」からの着信を一括で拒否する機能が備わっている機種もあります。
例えば、「+1(アメリカ)」や「+86(中国)」など、迷惑電話が多い国を指定してブロックすることが可能です。また、海外との取引が全くない企業であれば、国際電話そのものをすべて拒否する設定ができる場合もあるでしょう。この方法は、特定の国からの集中的な迷惑電話に対しては非常に高い効果を発揮します。
ただし、その国に正当な取引先や顧客がいる場合、必要な電話まで拒否してしまうリスクがある点には注意が不可欠です。導入前に、海外との通話実績を確認し、支障がないかを慎重に判断する必要があります。
方法④IVR(自動音声応答)で「水際対策」する
特定の番号を拒否するのではなく、すべての着信に対して自動音声で応答し、用件に応じて振り分ける「IVR(自動音声応答)」を導入するのも有効な手段です。着信時に「お電話ありがとうございます。〇〇に関するお問い合わせは1番を、それ以外の方は2番を押してください」といったガイダンスを流します。
この方法が海外からの迷惑電話に有効な理由は、機械による自動発信(ロボコール)をシャットアウトできる点です。ロボコールはガイダンスに従って番号を押す操作ができないため、オペレーターにつなぐ前に自動的に切断されます。
また、人間がかけてくる場合でも、日本語のガイダンスが流れた時点で「面倒だ」「通じない」と判断し、電話を切るケースが多く見られます。IVRは、迷惑電話を「着信拒否」するのではなく、オペレーターが出る前にふるいにかける水際対策として、非常に高い効果を発揮するのです。従業員が電話に出る回数を物理的に減らすことができるため、業務効率化の観点からも推奨される施策といえます。
IVRの仕組みや導入メリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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海外からの迷惑電話対策は、小手先の対応ではなく、システムによる仕組み化で根本的に解決することが望ましいです。アライブネットでは、企業の電話業務における課題を解決するサービスを提供しています。ここでは、迷惑電話対策に効果的な2つのサービスをご紹介します。
CTIシステム「Voiper Dial」のIVR機能で迷惑電話を自動シャットアウト
アライブネットが提供するクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」は、IVR(自動音声応答)機能を標準搭載しています。CTIシステムとは「コンピューターと電話機能を統合したシステム」のことです。IVRを活用することで、海外からのロボコールや無差別な営業電話を、オペレーターが応答する前に自動でブロックすることが可能です。
また、Voiper DialはPCの管理画面から着信履歴を確認し、特定の番号を簡単に着信拒否リストに追加できます。登録した情報は全社で共有されるため、個別の電話機で設定する手間もかかりません。
さらに、CRM(顧客管理システム)との連携機能を使えば、着信時に顧客情報をポップアップ表示させられます。これにより、登録されていない番号(=不審な電話)を一目で判別し、警戒して対応するといった運用も実現できるでしょう。迷惑電話対応の時間をゼロに近づけ、従業員を守るための強力なツールとして活用いただけます。
【Voiper Dial基本料金】
- 初期費用:11,000円/ブース
- 月額費用:11,000円/ブース
※最低利用5ブースからになります。
高品質IP電話「Alive Line」で対策コストを創出
「迷惑電話対策のために新しいシステムを導入したいが、コストが気になる」という企業様も多いのではないでしょうか。
そのような場合は、固定電話サービスのコスト見直しが有効です。アライブネットのIP電話サービス「Alive Line」は、業界最安級の通話料を提供しています。秒課金プランなどを活用することで、現在の通話コストを大幅に削減できる可能性があります。
【Alive Line基本料金】
- 秒課金 固定電話宛:0.06円~
- 秒課金 携帯電話宛:0.25円~
- 分課金 固定電話宛:7円~
- 分課金 携帯電話宛:13円~
- チャネル利用料:1,200円/1チャネル
通信コストを削減し、浮いた予算をVoiper Dialのようなシステムの導入費に充てることで、実質的な負担を抑えながら、迷惑電話対策と業務効率化を同時に実現できます。海外からの着信にお悩みの方、オフィスの電話環境を改善したい方は、ぜひ一度アライブネットにご相談ください。
