IP電話のメリットとは?コスト削減と業務効率化の方法も紹介

「会社の電話業務を効率化したい」
「固定電話の通話料を抑えたい」
こうした悩みには、IP電話の導入が効果的です。
とはいえ、従来の固定電話との違いや、本当にメリットがあるのか不安に感じる方も少なくありません。この記事では、IP電話の仕組み、導入によるメリットと注意点、そして自社に合ったサービスの選び方をわかりやすく解説します。
IP電話とは?

IP電話とは、インターネットプロトコル(Internet Protocol)という通信規格を使って音声を送受信する電話サービスです。仕組みとしては、音声を「パケット」と呼ばれる小さなデータに分割し、インターネット回線を通じて相手に送信します。受信側ではそのデータを再び音声に復元し、通話が成立します。
2024年1月からは、従来の加入電話もIP網に移行しました。これにより、これまで通話距離によって変動していた料金が全国一律に統一されています。IP電話サービスは、NTT東日本・西日本のほか、多くの通信事業者が提供しており、料金体系は事業者ごとに異なります。そのため、より安いプランを選べば、従来の固定電話より通話コストを削減できます。
IP回線については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
IP電話6つのメリット【法人向け】
IP電話を導入すると、企業はコスト削減から業務のあり方まで、さまざまな面でメリットを得られます。
メリット①独自サービスでおトクに使える
IP電話は、通信事業者からITベンダーまで非常に多くの企業が参入しています。そのため、各社が独自の強みやオプションサービスを提供しており、競争によって魅力的なプランが数多く存在します。例えば、以下のようなものです。
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特定の携帯キャリアへの通話料が割引になるプラン
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自社のITシステムと連携できるサービス
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高度なセキュリティ機能を標準搭載したサービス
自社の業種や利用方法に合ったサービスを選べば、従来の加入電話では得られなかった利便性や、より大きなコストメリットを得られる可能性があります。
メリット②通信コストを削減できる
IP電話の最大のメリットは、通話コストを削減できる点です。インターネット回線を利用するため、従来の加入電話のように相手との距離で通話料が変わることはなく、全国一律料金で通話可能です。
NTTの加入電話とアライブネットのIP電話サービスAliveLineの料金比較は下表の通りです。
NTT加入電話 | AliveLine | |
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月額基本料金 | 2,750円(3級取扱所) 2,640円(2級・1級取扱所) |
1,200円〜(1チャネル) |
国内固定電話への通話料 | 9.35円/3分 | 7.8円/3分 |
基本料金、通話料金ともに、IP電話にメリットがあることがわかります。
メリット③電話加入権が必要ない
従来の加入電話を新たに設置する場合、「電話加入権」の購入が必要です。この権利は2025年現在で39,600円(税込)と、導入時の大きな負担となっていました。
しかし、IP電話を利用する場合は電話加入権が不要です。そのため、導入時のコストを大幅に削減できます。このメリットは、特に以下のような企業に有効です。
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新規でオフィスを開設する企業
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事業拡大で電話回線を増設したい中小企業
初期費用を抑えつつ通信環境を整えられることは、IP電話導入の大きな魅力です。
IP回線の料金については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
メリット④電話業務が効率化できる
IP電話は、PCやさまざまなITシステムと連携させることで、電話業務を飛躍的に効率化できます。その中心的役割を果たすのが、「CTIシステム」です。
CTIシステムとは、電話とコンピューターを連携させる技術のことです。これにより、
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着信時にPC画面へ顧客情報を自動表示
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PC上の電話番号をクリックするだけで発信(クリック・トゥ・コール)
といった機能が可能になります。
さらに、多くのCTIシステムはCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)とも連携可能です。CTIシステムとCRMやSFAを組み合わせれば、電話対応と顧客情報管理を一体化できます。これにより、
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顧客に合わせた質の高い応対
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営業活動の効率化と成果向上
が実現します。
CTIシステムについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
メリット⑤柔軟な働き方に対応できる
IP電話はインターネット環境さえあれば、オフィス以外でも会社の電話番号で発着信が可能です。専用アプリをスマートフォンやPCにインストールすれば、自宅やサテライトオフィスがそのまま会社の電話環境になります。
そのため、テレワークやハイブリッドワークなど柔軟な働き方と相性が良く、従業員がどこにいても顧客や取引先からの電話を逃さず対応可能です。これにより、ビジネスの機会損失を防止できます。さらに、私物のスマートフォンを内線化すれば、会社が業務用端末を購入・維持するコストの削減につながります。
メリット⑥回線数を柔軟に調整できる
企業の成長フェーズでは、従業員数の増減やオフィスの移転・増設は避けられません。IP電話であれば、こうした変化に迅速かつ柔軟に対応可能です。例えば、
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従業員が増えた場合:管理画面からID(利用権)を追加するだけで即日利用開始
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従業員が減った場合:IDを削除するだけで利用停止
従来型の電話のように物理的な配線工事や機器の増設を待つ必要はなく、利用規模を簡単に調整できます。ビジネスの状況に合わせて常に最適な規模で電話システムを運用できるため、無駄なコストをかけず効率的な運用が可能です。
IP電話の4つのデメリット【法人向け】

多くのメリットがあるIP電話ですが、導入前に知っておくべき以下のデメリットが存在します。
デメリット①通話品質がネット環境に左右される
IP電話はインターネット回線を通じて音声データをやり取りするため、通話品質はネットワーク環境の安定性に依存します。社内ネットワークが混雑していたり、Wi-Fiの電波が弱い場合は、
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音声が途切れる
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遅延が発生する
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ノイズが混じる
といった問題が起こる可能性があります。
ビジネス利用において、通話品質の低下は避けたいところです。対策としては以下が効果的です。
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十分な通信速度と安定性を備えた法人向け光回線サービスを契約する
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特定の通信を優先的に処理できるネットワーク機器(QoS機能付きルーター)を導入する
デメリット②停電時は利用できない
従来の加入電話は、電話回線を通じて直接電力が供給されるため、オフィスが停電しても利用可能でした。
しかし、IP電話は利用に必要なルーターやVoIPゲートウェイなどの機器が、オフィスの電源で動作します。そのため、停電が発生するとこれらの機器の電源が落ち、発着信の両方が完全に利用不可となります。
対策としては、UPS(無停電電源装置)の導入がおすすめです。これにより、停電時でも一定時間、通信機器に電力を供給でき、緊急時の連絡手段を確保できます。
デメリット③一部発信できない番号がある
IP電話サービスの種類によっては、110番(警察)、119番(消防)、118番(海上保安庁)などの緊急通報に発信できない場合があります。これは、IP電話では発信元の位置情報を正確に特定するのが難しいためです。
ただし、「0ABJ番号」を利用するIP電話サービス(例:ひかり電話)では多くの場合、緊急通報に対応しています。一方、「050番号」を利用するIP電話サービスでは緊急通報ができません。
導入予定のサービスが緊急通報に対応しているかどうかは、企業の安全確保のため必ず事前に確認が必要です。特に、在宅勤務や複数拠点での利用が多い企業は注意が求められます。
050番号については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてお読みください。
デメリット④既存の電話番号を引き継げない場合がある
現在オフィスで使っている電話番号を、IP電話に切り替えた後もそのまま利用したいと考えるのは、自然なことです。
しかし、契約するIP電話サービスの種類や、現在の電話番号の取得方法によっては番号を引き継げない(番号ポータビリティ不可)場合があります。特に従来の加入電話から「050番号」のIP電話に切り替える場合は、番号を引き継ぐことができません。
電話番号は企業にとって重要な資産です。失わないためにも、検討中のサービスが番号ポータビリティに対応しているか、必ず事前に確認しましょう。
失敗しないIP電話サービスの選び方
IP電話サービスにはさまざまな種類があり、どのサービスが自社に最適かを見極めるのは簡単ではありません。以下の3つのポイントを意識して自社に合ったIP電話サービスを選びましょう。
①利用できる電話番号の種類で選ぶ
IP電話で利用できる主な番号は「0ABJ型」と「050型」の2種類です。0ABJ型は東京の「03」や大阪の「06」など市外局番から始まる番号で、地域に根差した企業としての社会的信用度が高く、多くの場合は緊急通報にも対応します。そのため、信頼性や地域性を重視する企業に適しています。
一方、050型は「050」から始まる11桁の番号で、地域に縛られず全国どこでも利用でき、月額料金が安い傾向があります。ただし、番号の引き継ぎ(番号ポータビリティ)ができないことや、認知度の低さから信用性に課題が残る場合があります。そのため、コストを抑えたい企業や場所にとらわれない柔軟な運用を求める企業に向いています。
結論として、信頼性・地域性を重視するなら「0ABJ型」、コストや柔軟性を優先するなら「050型」が選択肢となります。
②通話品質やサポート体制で選ぶ
ビジネス利用において、通話品質は譲れないポイントです。IP電話の音声品質は、総務省が定めた基準によりクラスA〜Cの3段階に分類されます。クラスAが最も高品質で、固定電話と同等レベルとされており、サービス選びの重要な目安となります。
さらに、万が一のトラブル時に迅速に対応できるサポート体制の有無も重要です。電話やメールでの問い合わせに24時間365日対応しているか、導入時の設定サポートがあるかなど、事前に確認しましょう。
また、無料トライアルが用意されている場合は、実際に試して通話品質や操作感を確かめるのが確実です。これにより、契約後のミスマッチや不満を防ぐことができます。
③既存システムとの相性で選ぶ
IP電話のメリットを最大限に活かすには、他の業務システムとの連携が鍵となります。すでに社内でCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入している場合は、検討中のIP電話サービス(またはCTIシステム)がこれらと連携可能かを必ず確認しましょう。
API連携などの仕組みが提供されていれば、システム間をスムーズに接続でき、着信時の顧客情報自動表示や通話履歴の自動記録といった機能が利用できる可能性があります。
こうしたシステム連携により、電話対応の品質向上や営業活動の効率化など、単なるコスト削減以上の効果が期待できます。将来的な拡張性も踏まえ、連携のしやすいサービスを選ぶことが重要です。
高品質なIP電話はアライブネットにご相談ください

IP電話は、コスト削減と業務効率化を同時に実現できる強力なツールです。
アライブネットでは、お客様の多様なニーズに応えるため、高品質なIP電話サービスAliveLineと、高度な電話業務を可能にするクラウドCTIシステムVoiper Dialを提供しています。
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AliveLine:既存の電話設備を活かしながら、業界最安級の通話料でコストを大幅に削減
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Voiper Dial:IVR(自動音声応答)や通話録音など、豊富な機能で電話業務全体の生産性を向上
アライブネットは、単なる回線やシステムの提供にとどまらず、電話業務に関する知見と実績を活かしてお客様の課題を丁寧にヒアリングし、最適なソリューションをワンストップで提案する「コールソリューション企業」です。
IP電話の導入から、その先の業務改善まで、アライブネットにお任せください。
まとめ
今回の記事では、IP電話の仕組みからメリット・デメリット、自社に合ったサービスの選び方までを解説しました。IP電話はインターネット回線を利用することで、従来の加入電話に比べ多くのメリットを提供します。特に、コスト削減・業務効率化・柔軟な働き方への対応は、多くの中小企業にとって大きな魅力です。
サービス選定の際は、次の3つのポイントを総合的に判断することで、導入の失敗を防げます。
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利用できる電話番号の種類
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通話品質やサポート体制
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連携したいシステムとの相性
アライブネットでは、高品質かつ低コストなIP電話サービス「AliveLine」と、電話業務を革新するCTIシステム「Voiper Dial」をご用意しています。お客さまのご状況に合わせて、最適なソリューションをご提案いたします。どうぞお気軽にご相談くださいませ。