IVRをコールセンターに導入するメリットは?仕組みや注意点も解説

コールセンターの業務を効率化するために、多くの企業が「IVR(音声自動応答システム)」を導入しています。
IVRを活用することで、よくある問い合わせに自動音声で対応したり、適切な部署へ電話を振り分けたりできるようになります。そのため、オペレーターの負担を抑えながら、顧客対応の質を向上させられます。
しかし、「本当に業務の効率化につながるの?」「IVRの導入時に注意すべきポイントは?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。IVRは便利なシステムですが、導入にあたっては注意点もあります。
本記事では、IVRの基本的な仕組みやメリット・デメリット、導入時のポイントについてわかりやすく解説します。コールセンターの運営を改善したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
IVR(音声自動応答システム)とは?

IVR(Interactive Voice Response)は、日本語で「音声自動応答システム」と訳され、電話対応を自動化する仕組みを指します。
IVRは、顧客が企業に電話をかけた際に自動でガイダンスを流し、プッシュボタン操作や音声認識を活用して適切な対応へ誘導します。例えば、「お問い合わせは1を、予約変更は2を押してください」といったメニューを設けることで、顧客が必要とする情報にスムーズに誘導できる仕組みです。
例えば、コールセンターにIVRを導入することで、以下のような効果が期待できます。
・オペレーターの負担軽減:単純な問い合わせを自動応答で対応し、複雑な案件にオペレーターが集中できる
・顧客の利便性向上:24時間対応が可能になり、待ち時間を短縮できる
・業務効率の向上:振り分けの精度が高まることで、適切な担当者へ迅速につながる
IVRは、単なる音声ガイダンスにとどまらず、ポップアップや通話録音機能など、さまざまな機能を備えたシステムへと進化しています。さらに近年はAIと連携したIVRも登場し、より柔軟な対応が可能になっています。
IVRの歴史と背景
IVRは、1990年代からコールセンターに導入され始め、21世紀に入ってから急速に普及しました。その背景には、通信技術の進化や企業の業務効率化ニーズの高まりがあります。
当初のIVRは、シンプルな音声ガイダンスとプッシュボタンによる選択式の仕組みが主流でした。しかし、技術の進歩とともに、AIを活用した高度な音声認識やクラウド型のIVRが登場し、より柔軟な対応が可能になっています。
IVRの進化の流れを下表にまとめました。
年代 | 事象 |
---|---|
1990年代 | 企業のコールセンターでIVRが導入され始める |
2000年代 | コンピューターと電話回線を連携させるCTI(Computer Telephony Integration)の技術が発展し、IVRの機能が向上 |
2010年代 | スマートフォンの普及に伴い、「ビジュアルIVR」(画面上で操作できるIVR)が登場 |
2020年代 | AIを活用した音声認識技術の向上により、より自然な対話型IVRが導入される |
近年はクラウド型IVRが主流となり、導入コストを抑えながら柔軟にカスタマイズできる環境を手軽に整えられます。これにより、企業は顧客対応の品質を向上させながら、オペレーターの負担を軽減できるようになりました。
IVRの基本的な仕組み
IVRの基本的な仕組みは、下表のようになっています。
機能 | 詳細 |
---|---|
1. 着信の受け付け | 顧客が企業に電話をかけると、IVRが自動的に応答 |
2. 音声ガイダンスの提供 | 問い合わせ内容に応じて、適切な選択肢を案内 |
3. ユーザーの入力受付 | プッシュボタンまたは音声認識を利用し、情報を取得 |
4. 適切な対応を実施 | ・シンプルな問い合わせなら自動応答で解決 ・オペレーターが必要な場合は適切な担当者へ転送 ・SMS送信やWeb案内への誘導など、柔軟な対応が可能 |
IVRはコールセンターのオペレーターに頼らず、問い合わせの振り分けや基本的な対応を自動化する役割を果たします。
IVRをコールセンターに導入するメリット

IVR(音声自動応答システム)をコールセンターに導入すると、多くのメリットがあります。以下で解説していきます。
業務効率化につながる
IVRは、問い合わせの一次対応を自動化し、オペレーターが対応すべき業務を軽減します。例えば、以下のような業務をIVRで処理できます。
・よくある質問の自動応答(営業時間、サービス内容、支払い方法など)
・注文・予約の受付(電話での予約受付や注文確認)
・顧客の問い合わせ内容の分類(適切な担当部署へ振り分け)
これにより、オペレーターはより高度な対応に専念できるようになり、業務の効率化が図れます。
オペレーターの負担を軽減できる
コールセンター業務では、繰り返しの問い合わせ対応がオペレーターの負担となることがあります。その際もIVRを導入することで、単純な問い合わせ対応を自動化し、オペレーターの負担を軽減できます。
また、IVRが適切に問い合わせ内容を分類し、必要な場合のみオペレーターへ接続することで、対応業務の効率化も実現できます。
24時間365日対応できる
IVRは人手を必要とせず、24時間365日対応が可能です。深夜や休日でも対応できるため、特に以下のような場面で有効です。
・顧客からの問い合わせ対応(営業時間外の対応)
・緊急時の連絡や情報提供
・予約・注文受付の自動化
これにより企業は機会損失を防ぎ、顧客満足度の向上につなげられるでしょう。
コスト削減につながる
またIVRの導入は、コストの削減にもつながります。コールセンターの運営には、オペレーターの採用・教育・給与などのコストがかかりますが、IVRで対応できる範囲を切り分けることで、人員を削減できます。
例えば、「Voiper Dial」利用料金は下表の通りです。
費用 | 価格(税別) |
---|---|
初期費用 | 10,000円/ブース(最低5ブース~) |
月額費用 | 10,000円/ブース(最低5ブース~) |
Salesforce連携(標準) | 初期30,000円、月額10,000円 |
Salesforce連携(標準+履歴) | 初期30,000円、月額10,000円 |
他社CRM/PBX連携 | 別途お見積り |
「Voiper IVR」は、音声自動応答機能を提供するシステムで、企業の業務負担を軽減します。
費用 | 価格(税別) |
---|---|
初期費用 | 30,000円/1番号 |
月額利用料 | 30,000円(3,000件込み) |
超呼 | 10円/1呼 |
番号追加 | 5,000円/1番号 |
Voiper IVRを導入することで、 低コストで電話の24時間対応が可能 になり、オペレーターの負担を軽減しながら、業務効率を向上させられます。
顧客満足度が向上する
IVRの活用でスムーズな電話対応が可能になるため、顧客満足度の向上にもつながります。特に、以下のようなポイントが評価されることが多いです。
・待ち時間の短縮(適切な担当者に素早く接続)
・ストレスの軽減(不要な転送や長時間の待機を防止)
必要な情報を即座に取得できる(音声ガイダンスによる自己解決の促進)
IVRをコールセンターに導入するデメリット
IVR(音声自動応答システム)は、コールセンター業務の効率化やコスト削減に貢献しますが、導入にはいくつかのデメリットも伴います。特に、顧客のストレスや設定の複雑さ、初期費用の負担などが課題として挙げられます。
以下で、IVRをコールセンターに導入するデメリットを紹介します。
顧客にストレスを与える可能性がある
IVRは適切に設定しないと、顧客にとって使いにくいシステムになり、ストレスの原因となることがあります。特に以下のような問題が発生する可能性があります。
・メニューが複雑で、どの選択肢を選べばよいのかわかりにくい
・オペレーターに直接つなぎたいのに、なかなかつながらない
・音声認識機能の精度が低く、意図した操作ができない
こうした状況は、顧客満足度の低下につながるため、メニュー構成をシンプルにし、オペレーターへ接続する選択肢も設けることが重要です。
設定や管理が複雑
IVRの導入には、シナリオ設計やメニュー設定、システムの維持管理が必要です。特に以下のような課題が発生することがあります。
・適切なシナリオを設計しないと顧客の利便性が低下する
・問い合わせ内容が頻繁に変わる場合、メニューの更新が必要
・システムの運用管理には一定の知識や専門スキルが求められる
そのため、運用開始後も定期的に改善し、顧客のニーズに適応できるよう管理することが重要です。
初期費用や運用コストがかかる
IVRを導入する際は、初期費用やランニングコストが発生します。特に、オンプレミス型は以下のようなコストが発生するため、高額になりがちです。
・ハードウェアの導入費
・ソフトウェアのライセンス料
・保守・運用費
・カスタマイズ費用(シナリオの変更や音声ガイダンスの録音など)
IVRをコールセンターに導入する際の注意点
IVR(音声自動応答システム)は、コールセンター業務の効率化やコスト削減に貢献しますが、導入時にはいくつかの注意点を考慮する必要があります。
IVRをコールセンターに導入する際の注意点について、以下で紹介していきます。
ガイダンスメニューを複雑にしない
IVRのガイダンスメニューが複雑すぎると、顧客が混乱し、スムーズに目的の情報へたどり着けなくなります。特に以下の点に注意が必要です。
・メニューの階層を深くしすぎない(3階層以内が理想)
・顧客が直感的に選択できるようなシンプルな表現を使う
・重要な選択肢は前半に配置し、長時間の待機を防ぐ
IVRの設定を定期的に見直す
IVRを導入した後も、定期的に運用状況を分析し、メニューや音声ガイダンスの改善を行うことが重要です。特に以下の点をチェックしましょう。
・顧客が途中で電話を切る割合(離脱率)が高くないか
・IVRで対応しきれず、オペレーターに転送されるケースが多すぎないか
・ガイダンスの内容が最新の業務フローやFAQと一致しているか
定期的に顧客のフィードバックを収集し、改善すべきポイントを特定することが、運用の最適化につながります。
オペレーターとつながる選択肢を設ける
IVRは便利なツールですが、すべての問い合わせを自動対応で解決するのは現実的ではありません。顧客によっては「オペレーターと直接話したい」というニーズがあるため、適切なタイミングで有人対応へ切り替えられるようにしておくことが重要です。
IVRの途中で「オペレーターに接続する」オプションを設置し、オペレーターへの接続までの待機時間を短縮し、折り返し電話を予約できる仕組みなどを導入すると良いでしょう。
顧客の利便性を考慮し、自動対応と有人対応のバランスを取ることがIVR運用のポイントです。
顧客データと連携し、適切な振り分けを行う
IVRの効果を最大限に引き出すためには、顧客データとの連携が不可欠です。例えば、以下のような活用が可能です。
・顧客の電話番号を認識し、過去の問い合わせ履歴をもとに最適な対応を提供
・VIP顧客やリピーター向けに優先的な対応を設定
・未払い料金の確認や契約状況の照会を自動化
・適切な担当オペレーターへ即時接続
Voiper Dialは、電話とPCを連携させることで、よりスムーズな業務フローを実現します。特に、以下のような機能がコールセンターの業務効率化に貢献します。
機能 | 詳細 |
---|---|
ACD機能(自動着信呼分配) | 顧客のデータに基づき、オペレーターのスキルや業務ごとに適切な担当者へ振り分けます。 契約更新の問い合わせは営業チームへ、トラブル対応はカスタマーサポートへなど、最適な対応を提供できます。 |
リアルタイムモニタリング&通話録音 | すべての通話が録音・記録されるため、顧客対応の改善やオペレーターの教育に活用可能。 アポが取れるオペレーターとそうでないオペレーターの違いを分析し、業務改善にも貢献。 |
プレディクティブ機能 | コール待機時間を大幅に短縮し、オペレーターの稼働率を最大化。 特に大量発信が必要な業務に最適。 |
CRM連携 | Salesforceをはじめ、企業独自のCRMとも連携可能。 顧客の履歴を活用し、過去の問い合わせ内容を確認しながら対応できるため、よりパーソナライズされた対応を実現。 |
IVRとの統合運用 | IVR機能との連携で、着信時に自動応答で基本的な問い合わせを処理した後、適切な担当オペレーターに接続。 不要な転送を削減し、顧客満足度を向上させることが可能。 |
Voiper Dialは以下のような活用が考えられます。
・IVRで「問い合わせ内容」を選択 → 該当するオペレーターに自動接続
・CRMと連携し、リピーターやVIP顧客を優先対応
・通話内容を記録・分析し、カスタマーサポートの品質向上
・リアルタイムの業務状況を可視化 し、適切な人員配置を実施
IVRのコールセンターへの導入方法
IVR(音声自動応答システム)をコールセンターに導入することで、業務の効率化や顧客満足度の向上が期待できます。しかし、適切な手順を踏まずに導入すると、かえって運用が複雑になったり、顧客の利便性が損なわれたりする可能性があります。
ここでは、IVRをスムーズにコールセンターに導入するための手順を解説します。
適切なIVRシステムを選定する
IVRシステムは、オンプレミス型(自社運用)とクラウド型(外部サービス利用)の2種類があります。各企業のニーズに応じて、適切なシステムを選ぶことが重要です。
オンプレミス型
・企業内にサーバーを設置し、システムを独自に管理できる
・カスタマイズ性が高く、セキュリティを強化できる
・初期コストやメンテナンス負担が大きい
クラウド型
・インターネット経由でIVRを利用するため、導入が簡単である
・初期投資を抑えられ、メンテナンス負担が少ない
・外部の通信環境に依存するため、システムダウンのリスクがある
フローを設計し、適切なガイダンスを作成する
IVRを導入する際は、顧客がスムーズに目的の情報へたどり着けるように、適切なフローを設計することが重要です。以下のポイントに注意しましょう。
・顧客のニーズに合わせたメニューを設定(3階層以内が理想)
・シンプルでわかりやすい音声ガイダンスを作成
・必要な場合は、オペレーターへの転送オプションを設置
・業務内容や問い合わせ内容に応じて適切な分岐を設定
シナリオが複雑すぎると顧客が混乱し、満足度が低下する可能性があります。シンプルかつ効果的な設計を心掛けましょう。
音声合成の設定とテストを実施する
IVRでは、音声ガイダンスの品質が顧客満足度を左右するため、適切な音声合成を設定することが重要です。
・自然なイントネーションで聞き取りやすい音声を使用
・ガイダンスのスピードを調整し、ゆっくりと明瞭に話す
・企業イメージに合った音声を選択
・多言語対応が必要な場合は、各言語に適した音声を準備
導入前には、実際のユーザー視点で試験運用を行い、音声の聞き取りやすさや操作のしやすさを確認しましょう。
IVRと他のシステムを連携させる
IVRは単独で運用するのではなく、CRM(顧客管理システム)やコールセンターのデータベースと連携させることで、より効果的に活用できます。
・顧客の電話番号を認識し、過去の問い合わせ履歴をもとに対応を最適化
・オペレーターにつなぐ前に、IVRで基本情報を取得し、スムーズな対応を実現
・営業時間外の問い合わせを記録し、適切なフォローアップができるように設定
Voiper Dialは、ACD機能(自動着信呼分配)やCRM連携機能を備え、IVRで取得した顧客の情報をもとに適切なオペレーターへ接続 できます。
例えば、IVRで「契約に関する問い合わせ」を選択した顧客を自動的にカスタマーサービスへ振り分けたりと、顧客のニーズを確認しながらスムーズに対応できます。
IVRと他のシステムを組み合わせることで、効率的なコールセンターを構築できます。
運用開始後も定期的に改善を行う
IVRを導入した後も、定期的に運用状況を分析し、必要に応じて改善を行うことが重要です。具体的には、以下の点をチェックしましょう。
・IVRで自己解決できた割合(解決率)
・途中で電話を切られた割合(離脱率)
・オペレーターに転送された割合
・顧客のフィードバックやクレーム内容
定期的なデータ分析をもとに、音声ガイダンスの変更やメニューの改善を行い、IVRの精度を高めることが大切です。
まとめ
企業は電話業務にIVR(音声自動応答システム)を導入することで、「24時間対応」「業務の自動化」「顧客満足度の向上」などを実現できます。
しかしIVRの設計が複雑すぎると、逆に顧客の不満を招く場合もあるため、適切なシナリオ設計が重要です。
「Voiper Dial」は、IVRに加え、クラウドPBX、ACD、CRM、オートコール、全通話録音、モニタリング機能など、コールセンター運営に必要な機能を備えています。初期投資不要・短期利用可能・通話コスト最大95%OFFというメリットもあり、業務の効率化だけでなく、コスト削減と収益向上にも貢献します。
CTIによりオペレーターの稼働率を最大化し、より精度の高い顧客対応が可能になります。IVRの導入を検討している企業の方は、「Voiper Dial」を検討してみてはいかがでしょうか。