IVRで着信・発信業務を効率化!仕組みやメリットを解説

IVRは電話関連の業務を効率化する自動応答システムで、業界問わず数多くの企業で活用されています。これからIVRの導入を検討している企業も多いでしょう。
本稿では、IVRの発信と着信機能について詳しく解説します。電話業務の多いコールセンターや営業部門を統括し、IVRの導入を検討している担当者は、ぜひ参考にしてください。
IVRとは?

IVR(Interactive Voice Response)とは、「電話自動応答システム」のことで、主に顧客からの着信を適切な部署や担当者へ割り振ったり、顧客リストに対して一斉発信するなどの役割があります。以下でIVRの種類や機能について解説します。
IVRにはインバウンド型とアウトバウンド型がある
IVRには大きく分けてインバウンド型(着信)とアウトバウンド型(発信)の2種類があり、それぞれ機能や電話業務における役割が異なります。
・インバウンド型:顧客が企業に問い合わせる、自社の情報をもとに会員登録を申し込むなど、顧客からの着信に対応する業務です。例えば顧客からのコールセンターへの問い合わせなどは、インバウンドの業務になります。
・アウトバウンド型:企業が顧客および見込み客へ発信する際の業務です。例えば企業の営業担当者が実施する見込み客への架電などは、アウトバウンドの業務にあたります。
コールセンターで使われるシステムについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
インバウンド型IVRの仕組み
インバウンド型IVRを導入すると、顧客からの着信対応を一部自動化でき、コールセンター業務の効率化に役立ちます。例えば、着信時に自動音声ガイダンスを流し、顧客が問い合わせ内容に応じて番号を選択できるようにすることで、必要な部署や担当者へスムーズに通話を振り分けられます。
さらに、担当者が不在の場合にはメッセージを録音しておけるほか、コールバックが必要な場合には折り返し電話の予約を受け付けることも可能です。これにより、対応が遅れることで発生する顧客満足度の低下やビジネスチャンスの損失を防げます。
アライブネットが提供するCTIシステム「Voiper Dial」には、このインバウンド型IVR機能が標準搭載されています。着信時に適切な一次対応を自動で行い、オペレーターが対応すべき通話を効率的に選別できるほか、営業時間外や担当者不在時にも録音機能で顧客からの問い合わせを確実に記録できるため、対応漏れや機会損失を最小限に抑えられるのが大きなメリットです。
アウトバウンド型IVRの仕組み
アウトバウンド用IVRは、音声やテキストを使って顧客へ自動的にメッセージを発信できる機能を備えています。例えば、自社製品やサービスの最新情報を自動音声で案内したり、予約日や支払期限のリマインドを行ったりすることが可能です。
また、顧客ごとの状況に合わせたパーソナライズメッセージを送信できるため、一人ひとりに個別対応するような質の高い案内ができつつ、オペレーターが手動で電話をかける必要が減り、稼働コストの削減につながります。必要に応じて、通話中に「オペレーターと直接話す」オプションを設定できるため、顧客が追加のサポートを希望した場合にもスムーズに対応でき、満足度を損なう心配がありません。
さらに、アウトバウンドIVRは、大規模な顧客リストへの一斉発信やキャンペーン告知、緊急連絡などにも活用できます。これにより、人手をかけずに効率よく情報を届けつつ、必要な顧客にはオペレーター対応を提供できるハイブリッド運用が可能になります。
IVRとボイスボットの違い
IVRと似た機能を持つサービスに「ボイスボット」があります。ボイスボットはAIと連携し、顧客の発言内容を理解して要望に合わせた返答を自動で行えるのが特徴です。これにより、顧客はまるで人と会話しているかのような自然な対応を受けられるため、より快適な問い合わせ体験が可能になります。
一方で、ボイスボットはシナリオ作成やAIの学習設定に時間と手間がかかり、初期導入のハードルが高いのがデメリットです。特に、多岐にわたる会話パターンを想定したチューニングが必要な場合は、運用開始までにコストと時間がかかるケースもあります。
そのため、シンプルな案内や電話の振り分けなど、複雑な会話を必要としない業務には、従来のIVRのほうが導入しやすく、短期間で運用開始できる点で適しています。一方、24時間自動対応や高度な問い合わせ処理を重視する場合は、ボイスボットを導入することで、より柔軟で質の高い顧客対応を実現できる可能性があります。
IVRを導入するメリット

ここからはIVRを導入するメリットを、受信(インバウンド)と発信(アウトバウンド)に分けて解説します。
受信業務におけるIVRのメリット
受信(インバウンド)業務におけるIVR導入のメリットから解説します。
人件費や通信費の削減
IVRは、従来オペレーターが行っていた問い合わせの一次対応を自動化できるため、部署内の人員配置を最適化できます。簡単な質問や振り分け対応をIVRが担うことで、オペレーターは複雑な案件に集中でき、業務効率が向上します。
さらに、IVRは夜間や休日などの営業時間外でも自動音声で問い合わせを受け付けられるため、有人対応が不要となり、人件費を抑えつつ24時間体制の受信業務を実現できます。録音機能やコールバック予約を組み合わせれば、翌営業日にスムーズな対応につなげられる点もメリットです。
特に、顧客からの問い合わせ件数が多く、大規模なコールセンターを運営している企業では、IVRの導入による人件費や通話コストの削減効果がより顕著になり、長期的な運用コスト最適化に大きく貢献します。
マネジメントの最適化
IVRは、コールセンターのマネジメント効率化や新人オペレーターの育成にも活用できます。例えば、問い合わせ内容を自動的に判別し、専門知識を必要としない簡単な案件だけを新人オペレーターに割り振る設定が可能です。これにより、新人が無理なく対応経験を積める環境を作り、対応スキルを段階的に向上させられます。
さらに、IVRと通話録音機能、CTIのリアルタイムモニタリング機能を組み合わせれば、管理者が通話内容を確認しながら的確な指導を行うことも可能です。これにより、新人教育の効率化だけでなく、対応品質のばらつきを減らし、コールセンター全体のサービスレベルを底上げできるメリットがあります。
機会損失の防止
IVRは、オペレーターが不在となる夜間や休日でも自動音声で問い合わせを受け付けられるため、ビジネスチャンスの取りこぼしを防ぐのに役立ちます。例えば、営業時間外に顧客から問い合わせがあった場合でも、IVRが内容を録音して記録しておくことで、翌営業日に適切な担当者が効率よく折り返し対応できます。
また、日中の混雑時にもIVRの予約対応機能が有効です。顧客は「このまま待機する」「希望の時間に折り返しを受ける」といった選択肢を取れるため、長時間保留による不満や問い合わせの取りこぼしを防止できます。
このようにIVRを活用すれば、24時間体制での問い合わせ対応が可能になり、営業時間外や繁忙期に発生しがちな機会損失を最小限に抑えることができます。さらに、録音データを活用すれば、顧客の要望や問い合わせ内容を正確に把握でき、より質の高い後続対応にもつなげられます。
顧客満足度の向上
IVRを導入すると、顧客が複数の部署に何度も転送される「たらい回し」状態を防げます。問い合わせ内容を自動音声で振り分け、最初から適切な担当部署に接続できるため、無駄な待ち時間や転送回数が減り、顧客はストレスなく問題解決に進めます。
特にクレーム対応の際は、迅速かつ適切な担当者につなげられることで、顧客の不満を最小限に抑えられるだけでなく、「対応が早い」「きちんと話を聞いてもらえた」と良い印象を持ってもらえる可能性があります。結果として、ネガティブな状況をプラスの評価につなげ、企業の信頼向上にも寄与するのがIVRの大きなメリットです。
さらに、CRM(顧客管理システム)と連携すれば、過去の対応履歴をオペレーターが事前に確認できるため、よりスムーズで的確な対応ができ、クレームの再燃防止にも役立ちます。
発信業務におけるIVRのメリット
次に発信(アウトバウンド)におけるIVRのメリットを紹介します。
通話録音が可能
IVRには、通話内容を自動で録音できる機能が搭載されており、そのデータを活用することで顧客が抱える課題や要望を把握できます。録音内容を分析すれば、よくある問い合わせや不満点を明確にし、対応フローやトークスクリプトの改善につなげられます。
また、録音データはCRM(顧客管理システム)と連携して保存・共有できるため、過去の通話内容を参照しながら対応でき、顧客一人ひとりに合った最適な提案やサポートが可能になります。これにより、顧客対応の品質向上や営業成約率の改善、リピーター獲得にもつながるのが大きなメリットです。
さらに、録音データは新人教育やオペレーターのスキル向上にも活用できます。実際の通話内容を教材として使うことで、より実践的な指導ができ、コールセンター全体のサービスレベルを底上げできます。
コールスキルの向上
VRを活用すれば、通話内容を自動で記録でき、後から聞き返すことでスタッフのコールスキル向上に役立ちます。録音データを活用すれば、話し方や対応の流れを客観的に見直せるため、改善点を明確にできるのがメリットです。
例えば、Voiper Dialには通話内容を分析・レポート化できる機能が搭載されています。これにより、管理者はスタッフごとの成約率や通話数などの定量データだけでなく、失注理由や顧客からの反応といった定性的なデータも把握できます。こうした情報をもとに、スタッフごとに必要な指導や研修を行うことで、コール対応の質を継続的に高められます。
さらに、録音データをチーム全体の教育素材として活用すれば、実際の対応事例を共有し、良い対応例や改善が必要なポイントを学べるため、コールセンター全体のスキル底上げや成約率の向上につながる効果が期待できます。
売り上げ向上
IVR導入時のチェックポイント
最後に、受信・発信別でIVRを導入する際のチェックポイントを解説します。IVRをはじめCTIには様々な機能があるため、自社にて受信・発信業務をどう改善したいのか考慮して導入する必要があります。
受信は業務効率化を重視
IVRを受信業務に導入する際は、「どの程度業務を効率化できるか」を基準に検討することが重要です。例えば、コールセンターでは着信内容を自動判別し、最適な担当者に割り振る機能を活用することで、無駄な転送や待ち時間を減らし、顧客対応をスムーズに進められます。
また、特定の担当者を置いていない小規模な組織でも、IVRを導入すれば、簡単な問い合わせを自動応答で処理し、必要な内容だけを後から対応できるようになります。これにより、限られた人員でも対応漏れを防ぎ、人的リソースを最小限に抑えつつ顧客満足度を維持できるのが大きなメリットです。
さらに、IVRと留守番録音機能やコールバック予約機能を組み合わせれば、営業時間外や担当者不在時でも問い合わせ内容を確実に記録でき、後日の対応にスムーズにつなげられます。
発信は顧客管理を重視
IVRを発信業務に活用する場合は、「顧客管理のしやすさ」と「情報発信の精度」を重視することがポイントです。特に、IVRとCRM(顧客管理システム)を連携できるタイプを選べば、顧客ごとの履歴やニーズを把握したうえで、より効果的な架電が可能になります。
例えば、顧客データを分析した結果、特定の商品やサービスに関心を示した顧客だけにキャンペーン情報を自動音声で配信できれば、無駄な発信を減らし、成約率向上につなげられます。また、事前に顧客のニーズや過去の対応履歴を把握してから架電することで、内容の的確な提案が可能になり、顧客満足度を高められるのもメリットです。
さらに、CRM連携があれば、通話内容を自動で記録・保存でき、過去のやり取りをすぐに確認できるため、次回以降の架電時に効率よく対応できます。これにより、発信業務の精度向上と営業効率の改善、無駄なコスト削減が実現できます。
Voiper DialのIVRで電話業務を効率化
今回はIVRの受信・発信業務における機能の違いから導入時のポイントまでを解説しました。VoiperのIVR機能には、以下のような特徴があります。
・受信と発信のどちらにも対応可能
・人件費や通信費などのコストを削減し、業務を効率化できる
・機会損失防止や売り上げ向上などビジネスの成果にもつながる
Voiper Dialを活用して、電話業務の効率化、ひいては企業の成長を目指しましょう。