電話対応フローチャートとは?作成メリットや作り方・テンプレート例

「電話対応の品質が人によってバラバラ…」
「新人の教育に時間がかかってしまう…」
「クレーム対応でいつも慌ててしまう…」
企業の窓口である電話対応に関して、このようなお悩みを抱えてはいないでしょうか。担当者のスキルや経験によって対応品質に差が生まれる「属人化」は、顧客満足度の低下や思わぬトラブルに繋がる可能性があります。
その解決策の1つが「電話対応フローチャート」です。
電話対応フローチャートを活用すれば、誰が対応しても一定の品質を保つことができ、新人でも自信を持ってお客様と話せるようになります。
本記事では、電話対応フローチャートの基礎知識から、作成するメリット、具体的な作り方の4ステップ、さらにはシーン別のテンプレートまで、網羅的に解説します。電話対応の品質を向上させ、業務を効率化するための具体的なヒントが満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
電話対応フローチャートとは?

電話対応フローチャートとは、お客様から電話を受けてから終えるまでの一連の流れや手順を、図形や矢印を用いて視覚的にわかりやすく示したものです。業務マニュアルの一種であり、対応の「標準化」を実現するための強力なツールといえます。
電話対応の手順を可視化した図
フローチャートは、業務のプロセスを「開始/終了」「処理」「判断」などの記号で表し、それらを矢印で結んで流れを示します。
例えば、「担当者は席にいますか?」という問いに対して、「はい」の場合と「いいえ」の場合でその後の対応は変わります。このような条件分岐(判断)と、それに続く具体的な行動(処理)を明確に図示することで、オペレーターは次に何をすべきかを迷うことなく、スムーズに対応を進められるようになります。
文章ばかりのマニュアルよりも直感的に理解しやすく、複雑な業務手順でも全体像を把握しやすいのが大きな特徴です。
誰でも一定の品質を保つための業務マニュアル
電話対応は、企業の第一印象を左右する重要な業務です。しかし、ベテラン社員と新人オペレーターでは、知識や経験に差があるため、どうしても対応品質にバラつきが出てしまいます。
電話対応フローチャートは、この「属人化」を防ぐためのコンパスのような役割を果たします。
フローチャートに従って対応することで、経験の浅いオペレーターでもベテランと同じように、漏れなく的確な案内やヒアリングが可能です。これにより、オペレーター個人のスキルに依存することなく、組織として常に一定水準の高品質な電話対応を提供できるようになるのです。
電話対応フローチャートを作成するメリット
フローチャートを作成し、電話対応業務に導入することには、品質向上や業務効率化に繋がる多くのメリットが存在します。
メリット①:オペレーターの対応品質を均一化できる
最大のメリットは、オペレーター全員の対応品質を高いレベルで標準化できることです。フローチャートという明確な指針があることで、自己流の対応や、担当者による案内の違いがなくなります。
お客様は「誰が電話に出ても、同じように丁寧でスムーズな対応をしてもらえる」という安心感を得ることができ、企業全体の信頼性向上に大きく貢献するでしょう。
メリット②:新人教育や研修の時間を短縮できる
新人オペレーターにとって、電話対応は覚えるべきことが多く、大きな不安を感じる業務の一つです。フローチャートがあれば、業務の全体像と具体的な手順を視覚的に理解できるため、学習効率が飛躍的に向上します。
指導する側も、フローチャートを元に教えることで、教え漏れを防ぎ、体系的で分かりやすい研修を実施できます。結果として、OJT(On-the-Job Training)にかかる時間や教育コストを大幅に削減することが可能です。
メリット③:対応ミスやトラブルを未然に防ぐ
電話対応における「言った・言わない」のトラブルや、情報の聞き漏らし・伝え忘れといったヒューマンエラーは、企業の信用を損なう原因となります。
フローチャートには、ヒアリングすべき必須項目や、必ず伝えなければならない注意事項などを盛り込むことができます。オペレーターはフローチャートに沿って確認するだけで、必要なアクションを漏れなく実行できるため、対応ミスやそれに伴うトラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。特に、複雑な手続きや慎重な判断が求められるクレーム対応において、その効果は絶大です。
メリット④:顧客満足度の向上に繋がる
対応品質の均一化、スムーズでミスのない案内は、お客様のストレスを軽減し、安心感を与えます。保留やたらい回しの時間が減り、一度の電話で問題が解決すれば、顧客満足度は自然と向上していくでしょう。
お客様からの信頼を得ることは、リピート利用や良好な口コミにも繋がり、企業の成長にとって欠かせない要素となります。電話対応フローチャートの整備は、顧客満足度を高めるための重要な投資といえるのです。
電話対応フローチャート制作のステップ

効果的な電話対応フローチャートを作成するためには、いくつかの重要なステップとポイントがあります。以下の4つのステップに沿って進めることで、現場で本当に役立つフローチャートが完成します。
ステップ①目的と対象者を明確にする
まず最初に、「誰が、どのような状況で、何のために使うのか」という目的と対象者を具体的に設定することが重要です。
- 目的の例:
- クレーム対応の品質を標準化し、炎上リスクを低減する
- 新規顧客からの問い合わせ対応をスムーズにし、機会損失を防ぐ
- 基本的な電話の取り次ぎミスをなくす
- 対象者の例:
- 入社3ヶ月以内の新人オペレーター
- 全ての部署の電話担当者
- 特定の製品に関する専門的な問い合わせを担当するチーム
目的と対象者が明確になることで、フローチャートに盛り込むべき情報の粒度や専門性のレベルが決まり、より実践的な内容になります。
ステップ②対応パターンを洗い出し分岐を整理する
次に、実際の電話対応で起こりうるあらゆる状況や会話のパターンを洗い出します。お客様からの質問、要望、状況などを想定し、考えられる限りのシナリオをリストアップしましょう。
洗い出しが終わったら、それぞれのパターンを「はい/いいえ」で答えられるような分岐点(判断)で整理していきます。
- 「〇〇の件でよろしいでしょうか?」→ はい / いいえ
- 「担当者は社内にいますか?」→ はい / いいえ
- 「お客様は折り返しをご希望ですか?」→ はい / いいえ
複雑な分岐は避け、できるだけシンプルな構造にすることが、分かりやすさの鍵となります。現場のオペレーターにヒアリングを行い、実際の対応事例を参考にすると、より網羅的で実用的なパターンを洗い出せます。
ステップ③誰が見てもわかるシンプルな記号を使う
フローチャートは、誰が見ても一目で意味が理解できることが大切です。そのためには、シンプルで統一された記号を使いましょう。一般的に、JIS(日本産業規格)などで定められた基本的な記号を使用するのがおすすめです。
- 開始/終了(端子): 角の丸い四角形。プロセスの始まりと終わりを示します。
- 処理: 長方形。具体的な作業や行動内容を記述します。(例:「お客様情報をシステムに入力する」)
- 判断: ひし形。条件分岐を示します。「はい/いいえ」や「A/B」など、進むべき方向が複数に分かれる点です。
- 流れ線: 矢印。プロセスの進む方向を示します。
これらの基本的な記号に絞って使うことで、専門知識がない人でも直感的にフローを理解できるようになります。
ステップ④完成後は定期的に見直して改善する
フローチャートは一度作成して終わりではありません。ビジネス環境や顧客からの問い合わせ内容は常に変化します。新しい商品やサービスが始まったり、予期せぬ問い合わせが増えたりした場合は、それに合わせてフローチャートも更新する必要があります。
実際にフローチャートを使っているオペレーターから「この分岐は分かりにくい」「このケースが抜けている」といったフィードバックを収集し、定期的に内容を見直しましょう。PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を回し続けることで、フローチャートは常に現場に即した「生きているマニュアル」であり続けることができます。
電話対応フローチャートの例・テンプレート(シーン別)
ここでは、実際の業務ですぐに使える、シーン別の電話対応フローチャートの基本的な流れをご紹介します。
【基本】電話の受け方から取り次ぎまでの流れ
すべての電話対応の基礎となる、受電から担当者への取り次ぎまでのフローチャートです。
- 【開始】 3コール以内に電話を取る
- 【処理】 明るい声で会社名と氏名を名乗る
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇の△△でございます。」 - 【処理】 相手の会社名と氏名、用件を復唱して確認する
「□□社の××様ですね。いつもお世話になっております。〇〇の件でございますね。」 - 【処理】 取り次ぐ担当者名を確認する
- 【判断】 担当者は席にいるか?
はいの場合:
- 【処理】「少々お待ちください」と伝え、保留にして担当者へ内線を繋ぐ
- 【処理】担当者に電話を代わる
- 【終了】
いいえの場合:
- 担当者不在時の対応フローへ進む(後述)
【クレーム対応】お詫びから解決までの流れ
慎重かつ丁寧な対応が求められるクレーム対応のフローチャートです。感情的なお客様にも冷静に対応するための指針となります。
- 【開始】 クレームの電話を受ける
- 【処理】 まずは真摯にお詫びし、お客様に不快な思いをさせたことに対して謝罪する
「この度はご不便をおかけし、誠に申し訳ございません。」 - 【処理】 お客様のお話を遮らず、最後まで傾聴する(相槌や共感を示す)
- 【処理】 事実確認のため、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して状況をヒアリングし、メモを取る
- 【処理】 ヒアリングした内容を復唱し、認識にズレがないか確認する
- 【判断】 自分自身で解決できる内容か?
はいの場合:
- 【処理】 解決策や代替案を提示する
- 【処理】 お客様に納得いただけたか確認し、改めてお詫びと感謝を伝える
- 【終了】
いいえの場合:
- 【処理】「上長に確認し、改めてご連絡いたします」など、対応方針を伝え、折り返し連絡の許可を得る
- 【処理】 お客様の氏名、連絡先、都合の良い時間帯を確認する
- 【処理】 上長に報告し、対応を協議する
- 【終了】
【新規問い合わせ】用件ヒアリングから担当者への連携
見込み顧客からの問い合わせを、確実にビジネスチャンスに繋げるためのフローチャートです。情報の聞き漏らしを防ぎます。
- 【開始】 新規の問い合わせ電話を受ける
- 【処理】 会社名、氏名、連絡先(電話番号・メールアドレス)をヒアリングする
- 【処理】 問い合わせのきっかけ(Webサイト、紹介など)をヒアリングする
- 【処理】 問い合わせ内容の詳細をヒアリングする(どのような課題があるか、何を知りたいかなど)
- 【処理】 ヒアリングした内容を要約・復唱し、確認する
- 【処理】「担当者より改めてご連絡させていただきます」と伝え、今後の流れを説明する
- 【処理】 担当部署や担当者に、ヒアリングした情報を正確に連携する
- 【終了】
【担当者不在時】折り返しや伝言対応の流れ
担当者が不在の際に、お客様をがっかりさせないスムーズな対応フローです。
- 【開始】 担当者が不在であることを確認
- 【処理】 担当者が不在であること(席を外している、会議中、外出中など)をお詫びとともに伝える
「申し訳ございません。あいにく〇〇は席を外しております。」 - 【処理】 担当者の戻り時刻や今後の予定を伝える
「15時頃に戻る予定でございます。」 - 【判断】 お客様は折り返しを希望するか?
はいの場合:
- 【処理】 お客様の氏名、会社名、電話番号を復唱して確認する
- 【処理】「戻り次第、〇〇から折り返しお電話するよう申し伝えます」と伝える
- 【処理】 担当者へ正確に伝言する
- 【終了】
いいえの場合:
- 【判断】 伝言を預かるか、他の担当者で対応可能かを確認する伝言の場合:
- 【処理】 伝言内容を復唱して確認し、担当者へ申し伝えることを約束する
- 【終了】
他の担当者で対応可能な場合:
- 【処理】 対応可能な担当者へ電話を取り次ぐ
- 【終了】
フローチャート+IVRで電話対応をさらに効率化
フローチャートによる業務の標準化に加え、テクノロジーを活用することで、電話対応はさらに効率的になります。その代表的なツールがIVR(自動音声応答システム)です。
IVR(自動音声応答)で問い合わせ内容を自動で振り分け
IVRとは、「〇〇に関するお問い合わせは1番を、△△に関するお問い合わせは2番を押してください」というような自動音声を流し、お客様のプッシュ操作によって適切な部署や担当者へ電話を自動的に振り分けるシステムです。
これにより、オペレーターが一次対応で用件を聞き、取り次ぐ手間が省けます。お客様は最初から目的の担当者と話せるため、たらい回しにされるストレスがなくなり、オペレーターはより専門的な対応に集中できるのです。
IVRについての詳細や、おすすめのIVRシステムについては、以下の記事をご覧ください。
よくある質問は自動音声で完結させる
「営業時間を知りたい」「店舗の場所を教えてほしい」といった、頻繁に寄せられる簡単な質問(FAQ)は、オペレーターが対応するまでもなく、IVRの自動音声で完結させることが可能です。
これにより、オペレーターは人でなければ対応できない、より複雑で個別性の高い問い合わせに時間と労力を割くことができます。24時間365日対応が可能になるため、顧客満足度の向上とオペレーターの負担軽減を同時に実現できるでしょう。
IVRならVoiper Dialがおすすめ

電話対応のフローチャートを整備し、さらにIVR(自動音声応答)を導入して業務を本格的に自動化・効率化したいとお考えなら、株式会社アライブネットが提供するクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」がおすすめです。
Voiper Dialは、低コストで導入できるにもかかわらず、高機能なIVRを標準で搭載しています。この記事で作成したような電話対応フローチャートの内容を、そのままIVRのシナリオとして簡単に設定することが可能です。
「Voiper Dial」をおすすめする理由
- 柔軟なシナリオ設定
専門知識がなくても、WEBの管理画面から直感的な操作で音声フローの作成や変更ができます。「担当者不在時のフロー」や「クレーム対応の一次受付」など、複雑な分岐も柔軟に設定可能です。 - 高いコストパフォーマンス
IVR専用の高価なシステムを導入することなく、月額利用料(10,000円(税別)/ブース)の範囲内で本格的なIVR機能を利用できます。初期投資を抑えながら、電話対応の自動化をすぐに始められます。 - IVR以外の機能も充実
通話録音、顧客情報表示(ポップアップ)、レポート機能など、電話業務全体の品質向上と効率化に役立つ機能がオールインワンで揃っています。
フローチャートによる業務の「標準化」と、「Voiper Dial」のIVR機能による「自動化」を組み合わせることで、オペレーターの負担を劇的に軽減し、顧客満足度をさらに高い次元へと引き上げることができるでしょう。
「Voiper Dial」について詳しくは、以下のサービスページをご覧ください。
>>クラウド型コールセンター システム・CTI システム「Voiper Dial」|株式会社アライブネット
また、IVRシステム導入に関するお悩みや、「Voiper Dial」に関するご質問などございましたら、アライブネットまでお気軽にお問い合わせください。