電話対応完全マニュアル!ビジネスシーン別の例文や言葉遣い一覧表

ビジネスにおいて、電話対応は会社の第一印象を左右する重要な業務です。対面での会話と違い、相手は声のトーンや言葉遣いからしか情報を得られません。そのため、少しの言い回しや声の抑揚の差でも、相手に与える印象が大きく変わります。結果として、商談の成否や信頼関係の構築にも影響を及ぼすことがあります。
本記事では、電話対応の基本マナーに加え、受電(電話を受ける)・架電(電話をかける)・終話(通話を終える)といった場面別の正しい対応方法を例文付きで解説します。さらに、クレーム対応のポイントや業務効率化の工夫についても網羅的に紹介し、実践的なスキル習得をサポートします。
ビジネスにおける電話対応の基本マニュアル

まずは、どのような状況でも共通する、電話対応の基本的な心構えと準備について確認しましょう。
基本①:会社の代表である意識を持つ
会社の電話に出るときは、「自分が会社の代表である」という意識を常に持つことが最も大切です。たった一度の対応でも、あなたの話し方や態度が会社全体の印象を左右します。
顔が見えない電話では、声の印象が相手の評価をほぼ決定づけると言っても過言ではありません。そのため、少し高めのトーンで、明るくハキハキと話すことを意識しましょう。具体的には、口角を少し上げて話すと自然に声が明るくなります。
逆に、小さくぼそぼそとした声や、不機嫌に聞こえる低いトーンは避けるべきです。こうした声は、相手に「やる気がない」「感じが悪い」という印象を与えてしまい、信頼を損なう原因になります。
基本②:いつでもメモできるようにしておく
電話対応では、メモの準備が必須です。相手の社名・氏名・連絡先・用件などの重要情報は、会話中にすぐ書き留める習慣を身につけましょう。記憶だけに頼ると、聞き間違いや伝え漏れが発生しやすく、業務トラブルの原因になります。特に、以下の項目は必ずメモを取り、復唱して正確に確認することが重要です。
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受電日時
-
相手の会社名・部署名・氏名
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相手の連絡先(電話番号)
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用件
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折り返しの要否
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対応者名(自分の名前)
デジタルメモも便利ですが、急な電話には手書きメモが最も迅速です。常にデスクの取りやすい位置に、メモ帳とペンを常備しておきましょう。これにより、重要な情報の取りこぼしを防ぎ、スムーズな後続対応が可能になります。
基本③:電話は3コール以内に出る
かかってきた電話は、できるだけ相手を待たせずに出ることがビジネスマナーの基本です。一般的には「3コール以内」に応答するのが理想とされています。
日本のオフィスでよく使われるビジネスフォンは、1コールが約3秒のため、3コールはおよそ9秒以内という計算になります。短時間で応答することで、相手に迅速で誠実な対応という印象を与えられます。
もし3コール以上鳴ってから電話に出る場合は、「大変お待たせいたしました」と最初にお詫びの言葉を添えると、丁寧さと気配りを感じさせる対応になります。これは相手の不快感を和らげ、良好な関係を築くためにも効果的です。
基本④:正しい敬語を使う
適切な敬語の使用は、相手への敬意を示すうえで不可欠です。尊敬語・謙譲語・丁寧語を正しく使い分けることで、会話がスムーズになり、信頼感のあるコミュニケーションが生まれます。
さらに、「クッション言葉」を効果的に使うことで、表現をやわらげ、相手に好印象を与えることができます。クッション言葉とは、お願い・お断り・反論など、言いにくい内容の前に添える言葉です。
<クッション言葉の例>
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お願いする時:「恐れ入りますが」「お手数をおかけいたしますが」
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断る時:「申し訳ございませんが」「あいにくですが」
-
尋ねる時:「失礼ですが」「よろしければ」
これらの言葉を一言添えるだけで、会話の印象は格段に向上します。特に電話対応では表情が見えないため、言葉づかいで相手への配慮を示すことがより重要です。
基本⑤:電話対応でよく使う言葉遣い
電話対応で頻繁に使用する言葉遣いを一覧にまとめました。いざという時にスムーズに出てくるよう、日頃から意識して使いましょう。
言葉 | 丁寧な言い換え |
---|---|
私 | わたくし |
私たち | わたくしども |
あなたの会社 | 御社(おんしゃ)、貴社(きしゃ) |
私の会社 | 弊社(へいしゃ)、わたくしどもの会社 |
わかった | かしこまりました、承知いたしました |
どうしますか? | いかがなさいますか? |
すみません | 申し訳ございません |
あとで | 後ほど |
さっき | 先ほど |
【例文付き】受電時の電話対応マニュアル

次に、電話を受ける際の具体的なポイントを、例文を交えて解説します。
①第一声は「お電話ありがとうございます」と会社名・氏名を名乗る
電話に出たときの第一声は、明るく元気に、そして明確に名乗ることが基本です。第一声は相手にとって最初に受ける印象であり、その後の会話全体の雰囲気を左右します。
<例文>
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、〇〇(自分の名前)でございます。」
会社によっては、「はい、株式会社〇〇でございます」というシンプルな応答を採用している場合もあります。そのため、自社の電話応対ルールをあらかじめ確認しておきましょう。
また、「もしもし」はビジネスシーンでは基本的に使用しません。これはカジュアルな印象を与えやすく、フォーマルな場面には不適切とされるためです。
②相手の社名・氏名・用件を復唱して確認する
相手が名乗ったら、必ずその情報を復唱して確認します。これにより、聞き間違いを防ぐだけでなく、「きちんと話を聞いている」という安心感を相手に与える効果があります。
<例文>
-
「〇〇株式会社の〇〇様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。」
-
「〇〇の件でのお電話ということで、お間違いないでしょうか。」
もし聞き取れなかった場合は、曖昧にせず必ず聞き返すことが重要です。たとえば、
「恐れ入りますが、お名前をもう一度お願いできますでしょうか」
のように丁寧に確認すると、失礼にならず正確な情報を得られます。
<聞き返す際の例文>
「申し訳ございません、少々お電話が遠いようでして、もう一度お名前をお聞かせいただけますでしょうか。」
③担当者へ電話を取り次ぐ
用件を伺って担当者に取り次ぐ場合は、必ず保留機能を正しく使用しましょう。受話器を手で押さえて会話すると、音が相手に漏れる可能性があり、マナー違反となります。
<例文>
「〇〇(担当者名)でございますね。かしこまりました。ただいまお繋ぎいたしますので、少々お待ちください。」
保留時間の目安は30秒以内です。担当者がすぐに見つからないなど、保留が長引きそうな場合は、一度電話に戻り、状況を説明して相手の意向を確認します。
<保留が長引く場合の例文>
「大変お待たせいたしました。ただいま〇〇(担当者名)の状況を確認しておりますので、もう少々お待ちいただけますでしょうか。もしよろしければ、後ほどこちらから折り返しご連絡いたしましょうか。」
この対応により、相手を不安にさせず、信頼を保ったまま取り次ぎが可能になります。
④担当者が不在の場合は理由と今後の対応を伝える
担当者が不在の場合は、まず不在であることをお詫びし、不在の理由と今後の対応を具体的に伝えることが大切です。これにより、相手の不安や不満を和らげ、スムーズな後続対応につなげることができます。
<不在理由別の例文>
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席を外している場合:「申し訳ございません。あいにく〇〇は席を外しております。5分ほどで戻るかと存じますが、いかがいたしましょうか。」
-
会議中の場合:「申し訳ございません。〇〇はただいま会議中でございまして、〇時頃に終了予定です。」
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外出中の場合:「申し訳ございません。〇〇は本日外出しておりまして、社には戻らない予定です。」
-
電話中の場合:「申し訳ございません。〇〇はただいま他の電話に出ております。終わり次第こちらからお電話いたしましょうか。」
-
休暇中の場合:「申し訳ございません。〇〇は本日、休暇をいただいております。明日は出社予定です。」
不在の理由を伝えた後は、必ず相手の意向を確認します。例えば、
「折り返しご連絡いたしましょうか」
「よろしければご用件を承りますが、いかがなさいますか」
のように提案することで、相手に選択肢を与え、対応の柔軟さを示すことができます。
⑤内容を復唱し相手が電話を切るのを待つ
伝言を承った場合や、何らかの約束をした場合は、最後に必ず内容を復唱して確認します。これにより、聞き間違いや伝達漏れを防ぎ、相手に安心感を与えることができます。
<復唱の例文>
「かしこまりました。〇〇(担当者名)が戻りましたら、〇〇株式会社の〇〇様よりお電話があった旨をお伝えし、〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇まで折り返しお電話を差し上げるよう申し伝えます。わたくし、〇〇(自分の名前)が承りました。」
また、電話を切る際は、必ず相手が受話器を置いたことを確認してから、静かに受話器を置くのがマナーです。こちらから先に「ガチャン」と切ってしまうと、冷たい印象や不快感を与える恐れがあります。
【例文付き】架電時の電話対応マニュアル

次に、自分から電話をかける際の注意点と流れを解説します。
①かける前に用件をまとめておく
電話をかける前には、必ず用件を整理し、伝えたい内容の要点をメモにまとめることが重要です。こうすることで、短時間で、かつ漏れなく用件を伝えることができます。
特に、話のゴール(相手にどうしてほしいのか)を明確にしておくことが大切です。これにより、会話の流れがスムーズになり、相手の時間も無駄にしません。
効率的に整理する方法として、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して書き出すのがおすすめです。
例:
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When(いつ):来週の火曜日
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Where(どこで):本社会議室
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Who(誰が):営業部の田中部長
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What(何を):新製品の提案について
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Why(なぜ):導入効果の説明
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How(どのように):プレゼン資料を使って説明
②社名と氏名を名乗り、担当者への取り次ぎを依頼する
相手が電話に出たら、まず自分の会社名と氏名をはっきり名乗り、挨拶をすることが基本です。これは、相手に安心感と信頼感を与える第一歩となります。
<例文>
「お忙しいところ恐れ入ります。わたくし、株式会社〇〇の〇〇と申します。いつもお世話になっております。」
挨拶の後は、取り次いでほしい相手の部署名と氏名を明確に伝え、在席しているかを確認します。
<例文>
「〇〇部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。」
この手順を踏むことで、相手にとって誰からの電話かが明確になり、スムーズな取り次ぎが可能になります。
③相手が出たら改めて名乗り、話せる状況か確認する
担当者に代わったら、改めて自分の会社名と氏名を名乗り、挨拶をすることが基本です。そのうえで、本題に入る前に相手が今話せる状況かどうかを確認する気配りが重要です。これは、相手の時間を尊重し、会話をスムーズに進めるためのマナーです。
<例文>
「〇〇様、いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。ただいま、〇分ほどお時間よろしいでしょうか。」
もし相手が忙しそうな場合は、相手の都合を優先して再度連絡する提案をしましょう。
<例文>
「それでは、後ほど改めてご連絡いたします。何時頃がご都合よろしいでしょうか。」
④用件は結論から簡潔に伝る
相手の時間をいただいているという意識を常に持ち、用件は結論から簡潔に伝えることが基本です。先に結論を示すことで、相手が話の全体像をすぐに把握でき、会話がスムーズになります。その後で、必要に応じて詳細な説明を補足すると、相手は内容を理解しやすくなります。
また、事前に整理した5W1Hのメモを見ながら話すことで、要点の漏れを防ぎ、正確な情報伝達が可能になります。
⑤お礼を伝え、こちらから電話を切る
用件が済んだら、相手の時間をいただいたことへのお礼を必ず述べ、こちらから電話を切るのが基本です。
<例文>
「お忙しい中、ありがとうございました。それでは、失礼いたします。」
挨拶をした後は、2〜3秒ほど間を置いてから静かに受話器を置くと、慌ただしさを感じさせず、丁寧な印象になります。これは、相手がまだ話そうとしていた場合に備える効果もあります。
【例文付き】終話時の電話対応マニュアル
電話の終わり方も、相手に与える印象を左右する重要なポイントです。
①お礼の言葉とともに「失礼いたします」と挨拶する
用件が終わったら、必ず感謝の言葉と締めの挨拶を伝えることで、会話を丁寧に締めくくり、良い印象を残すことができます。
<例文>
-
(かけた側):「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。それでは、失礼いたします。」
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(受けた側):「ご連絡いただき、ありがとうございました。失礼いたします。」
②かけた側から切るのが基本マナー
原則として、電話は「かけた側」から先に切るのがマナーです。相手が切るのを待つ必要はありません。
③お客様が相手の場合は、相手が切ったのを確認してから受話器を置く
ただし、相手がお客様や目上の方の場合は、相手が電話を切ったことを確認してから、こちらも静かに受話器を置きましょう。相手への敬意を示す大切なマナーです。
④「ガチャン切り」をしない
電話を切る際の「ガチャン」という大きな音は、相手に不快感を与えてしまいます。受話器は指でフックをそっと押してから置くと、静かに電話を切ることができます。最後まで心配りを忘れないようにしましょう。
電話対応の効率化ならCTIシステム
ここまでは個人のスキルとしての電話対応マナーを中心に解説してきました。しかし、より高度なレベルで電話対応の品質向上と効率化を目指す場合、「CTIシステム」の導入が非常に有効です。
CTIシステムとは、電話とコンピューターを連携させる仕組みの総称です。導入により、以下のようなメリットがあります。
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着信と同時に顧客情報を表示(ポップアップ機能)
電話が鳴ると同時に、発信者の社名・氏名・過去の対応履歴などがPC画面に表示されます。これにより、相手を待たせずにスムーズで的確な対応が可能です。 -
通話の自動録音
すべての通話を自動で録音・保存できます。これにより、「言った・言わない」のトラブル防止や、対応品質のチェック、新人教育の教材として活用できます。 -
適切な担当者への自動振り分け(ACD機能)
スキルや稼働状況に応じて最適なオペレーターに着信を自動で振り分け、顧客の待ち時間を短縮し、機会損失を防止します。 -
自動音声応答(IVR機能)
「〇〇に関するお問い合わせは1番を」といった自動音声ガイダンスで用件ごとに振り分けたり、営業時間外の案内を自動化できます。 -
データ分析とレポート作成
受電数・応答率・通話時間などのデータを自動集計・分析し、課題発見や業務改善に活用できます。
オススメのCTIシステムはVoiper Dial

数あるCTIシステムの中でも、特におすすめしたいのが、株式会社アライブネットが提供するクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」です。
Voiper Dialは、インバウンド(受電)とアウトバウンド(架電)の両方に対応した高機能なシステムでありながら、クラウド型のため専用機器の設置が不要で、低コストかつ短期間で導入できるのが大きな魅力です。
Voiper Dialの主な特徴
- 場所を選ばない働き方を実現
インターネット環境さえあれば、オフィスだけでなく在宅勤務など、場所を選ばずにコールセンター業務が可能です。「Voiper Dial」なら、多様な働き方に柔軟に対応できます。
- イン/アウト両対応のワンシステム
受電業務に必要なACDやIVR機能はもちろん、架電業務を効率化するプレディクティブ発信などの機能も一つのシステムに集約。「Voiper Dial」は、コストを抑えながら幅広いニーズに応えます。
- 既存CRMとの連携
Salesforceをはじめ、現在利用中のCRM(顧客管理システム)との連携も可能です。「Voiper Dial」は、既存の資産を活かしながら、より戦略的な電話対応を実現します。
- 充実した管理者機能とレポート
「Voiper Dial」は、オペレーターの稼働状況をリアルタイムで把握できるモニタリング機能や、詳細な分析が可能なレポート機能が充実しています。そのため、管理者の業務負荷を軽減し、的確なマネジメントを支援します。
「Voiper Dial」の詳しい機能や費用については、以下のページをご覧ください。
>>クラウド型コールセンター システム・CTI システム「Voiper Dial」|株式会社アライブネット
電話対応の品質は、顧客満足度に直結する重要な要素です。個人のスキルアップはもちろんのこと、「Voiper Dial」のようなCTIシステムを導入することで、組織全体の電話対応レベルを向上させ、ビジネスチャンスの拡大に繋げられるでしょう。
企業における電話対応のお悩みや、CTIシステム「Voiper Dial」についてのご相談は、アライブネットまでお気軽にお問い合わせください。