在宅コールセンターとは?導入メリットや「きつい」理由の解決策
「コールセンターの人員確保が限界に達しており、在宅勤務を導入したいが具体的な方法がわからない」
多くの企業担当者様が、このようなお悩みを抱えていることでしょう。在宅コールセンターは、場所や時間の制約を取り払うことで、深刻な人材不足の解消や大幅なコスト削減を実現する画期的な手段です。
しかし、実際に導入を進めるうえでは、情報セキュリティの確保やオペレーターのメンタルケアなど、解決すべき課題も存在します。
本記事では、在宅コールセンターの基礎知識からメリット、現場で「きつい」と感じられる理由とその対策、具体的な導入手順までを解説します。
記事をお読みいただければ、自社の状況に合わせた最適な在宅コールセンターの構築イメージを具体的に描けるようになるでしょう。
在宅コールセンターとは?

在宅コールセンターとは、オペレーターがオフィスへ出社せず、自宅やサテライトオフィスといったリモート環境で電話対応を行う働き方です。
かつては専用機器のあるオフィスへの集約が一般的でしたが、クラウドシステムの進化により、PCとインターネット環境があれば場所を問わず業務が可能になりました。
この働き方は通勤の負担をなくし、育児や介護との両立を容易にするでしょう。企業側にとっても、固定費削減や全国からの人材採用など、経営的なメリットは計り知れません。特に、災害時のBCP(事業継続計画)の観点からも注目が集まっています。
一方で、管理者の目が届きにくいため、情報セキュリティの確保や遠隔サポート体制の構築が課題といえるのです。
在宅型とオフィス型の主な違いを、以下の表にまとめました。
| 項目 | オフィス型コールセンター | 在宅型コールセンター |
|---|---|---|
| 勤務場所 | 企業のオフィス | 自宅、サテライトオフィスなど |
| システム基盤 | オンプレミス型(自社設置)が多い | クラウド型(インターネット経由)が主流 |
| コスト | 設備費・家賃・交通費・光熱費がかかる | 通信費・システム利用料が主 |
| 人材採用 | オフィスの通勤圏内に限定される | 全国から採用可能 |
| セキュリティ | 入退室管理などで物理的に制御しやすい | システム的な制御やルール作りが必要 |
| マネジメント | 対面での直接指導や目視確認が可能 | チャットやWeb会議、モニタリングツールでの遠隔指導 |
適切なシステムと体制を整えれば、オフィス型と同等以上のパフォーマンスを発揮する環境を構築できます。
企業が在宅コールセンターを導入する3つのメリット
企業が在宅コールセンターを導入すれば、以下の3つのメリットが得られます。
- 人手不足の解消と採用力の強化
- 運用コストの削減
- BCP(事業継続計画)対策の強化
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
メリット①人手不足の解消と採用力の強化
最大のメリットとして、人材不足の解消と採用力の強化が挙げられます。
オフィス型では採用対象が通勤圏内に限定されるため、都市部では競合との争い、地方では労働人口不足という課題がありました。しかし、完全在宅勤務が可能になれば、居住地を問わず全国から優秀な人材を募集できるでしょう。
例えば、地方在住で高いスキルを持つ主婦層や、配偶者の転勤でキャリアを中断せざるを得なかった層へアプローチできるため、母集団形成が劇的に容易になるはずです。
また、既存従業員にとっても、育児や介護で出社困難になった際に仕事を継続できる環境は大きな魅力といえます。柔軟な働き方の提供は離職率を低下させ、熟練オペレーターの定着を促進します。結果として、採用や教育にかかるコストの削減にもつながるのです。
メリット②運用コストの削減
2つ目は、運営にかかる固定費や変動費の大幅な削減です。
オフィス型では、人数分のデスクやスペース確保のための家賃、通勤交通費、光熱費などのランニングコストが発生してしまいます。大規模なセンターほど、この固定費は経営を圧迫しかねません。
在宅化を進めることで、これらのコストを変動費化したり圧縮したりすることが可能です。全席を在宅にせずとも、一部を在宅にするだけでオフィスの増床回避やフリーアドレス化による効率化が見込めます。
さらに、クラウド型CTIシステムへ移行すれば、専用機器の購入費や保守費用も不要となるでしょう。席数の増減に合わせてライセンス数を調整できるため、繁忙期と閑散期のコスト最適化も容易になる点が強みです。
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メリット③BCP(事業継続計画)対策の強化
3つ目は、BCP(事業継続計画)対策としての有効性ではないでしょうか。
地震や台風などの自然災害、あるいはパンデミックで出社できなくなった場合、コールセンター機能が停止し、企業の信頼を損なうリスクがあります。電話がつながらない状況は顧客の不安を煽り、二次的なクレームを生む原因にもなりかねません。
在宅環境を構築し拠点を分散させておけば、特定地域が被災しても他地域のオペレーターが業務を継続できます。
リスク分散の観点から、平時はオフィスと在宅を併用し、有事には完全在宅へ切り替えられる体制を整える企業が増えているのが現状です。事業を止めないインフラとして、在宅コールセンターは不可欠な役割を果たすといえます。
在宅コールセンターが「きつい」と言われる3つの理由
在宅コールセンターはメリットも多い一方で、「きつい」といった声が上がることも事実です。主に以下の3つの理由が考えられます。
- 孤独感とサポート体制の不足
- セキュリティ面のプレッシャー
- 業務管理と評価の曖昧さ
それぞれの理由について詳しく解説します。
理由①孤独感とサポート体制の不足
最も多い課題として、孤独感とサポート不足が挙げられます。
自宅で一人業務を行うため、理不尽なクレーム対応後の精神的負担を共有できず、気持ちの切り替えが難しくなってしまうからです。オフィスなら隣の同僚と愚痴をこぼして解消できるストレスも、在宅では一人で抱え込むことになります。
また、チャットの返信が遅いと、顧客を待たせている焦りから強いストレスを感じるでしょう。「すぐに助けてもらえない」という不安は、離職の直接的な原因になりかねません。
企業側はレスポンスを迅速にするだけでなく、Web会議ツールを常時接続して「バーチャルオフィス」を作るなど、物理的な距離を埋めるコミュニケーション施策が必要です。
理由②セキュリティ面のプレッシャー
プライベートな空間で個人情報を扱うプレッシャーも、大きな負担といえます。
情報漏洩防止のため、家族の入室禁止や私物スマホの持ち込み禁止など、厳格なルールが求められるのが一般的です。生活空間である自宅で常に監視されるような緊張感は、オペレーターにとって精神的なストレスになるでしょう。
また、家族の生活音が顧客に聞こえないように配慮するなど、環境面での気苦労も絶えません。
セキュリティ教育を徹底しつつ、のぞき見防止フィルムの支給やリスクの低い業務から割り振るなどの配慮が求められます。過度な監視ではなく、システム側で安全を担保する仕組み作りが重要です。
理由③業務管理と評価の曖昧さ
3つ目は、評価に対する不安です。
業務姿勢が見えにくいため、通話件数などの数字だけで判断されてしまう傾向があります。丁寧な対応を心がけているなど、真面目なプロセスが評価されないことに不満を持つオペレーターも少なくありません。
また、オンとオフの切り替えが難しく、ついつい長時間労働になってしまう点も課題といえるでしょう。プライベートとの境界があやふやになり、リフレッシュできないまま業務を続けてしまうケースがあるのです。
明確な評価基準を設け、数字だけでなくチャットでの貢献度なども評価してください。システムによる勤怠管理を徹底し、オーバーワークを防ぐマネジメントも欠かせません。
在宅コールセンター構築に最低限必要な4つの設備
在宅コールセンターは、以下の4つの設備が最低限揃っていれば始められます。
- クラウド型CTIシステム
- PC・ヘッドセット
- 安定したインターネット環境
- コミュニケーションツール
それぞれの設備について詳しく解説します。
設備①クラウド型CTIシステム
在宅コールセンター運用の核となるのが、クラウド型CTIシステムです。
CTIシステムを活用すれば、PC画面上での発着信や顧客情報の表示が可能になり、インターネット経由で自宅から会社の電話番号を利用できるようになります。
選定時は、稼働状況がわかる「モニタリング機能」や、通話中に管理者のみ聞こえる音声で指示できる「ウィスパリング(ささやき)機能」の有無を必ず確認してください。
これらの機能がないと、トラブル発生時に即座にサポートができず、オペレーターを孤立させてしまうからです。遠隔サポート機能の充実は、在宅運用の成否を分ける重要なポイントといえます。
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設備②PC・ヘッドセット
PCはセキュリティ管理のため、会社貸与を推奨します。
個人のPCを利用させる(BYOD)と、ウイルス対策やアクセス制限を一括管理できず、情報漏洩リスクが高まってしまうからです。業務専用端末を貸与し、不要なサイトへのアクセスをブロックする設定を入れておくのが安全でしょう。メモリは8GB以上を目安にしてください。
ヘッドセットは、周囲の雑音をカットする「ノイズキャンセリングマイク」付きを選びましょう。接続が安定するUSB有線タイプがおすすめです。長時間の使用でも疲れにくい軽量タイプを選ぶと、オペレーターの身体的負担を軽減できます。
設備③安定したインターネット環境
通信品質は業務の生命線といえます。回線が不安定だと音声トラブルが起き、顧客へ多大な迷惑をかけてしまうからです。
光回線の利用が望ましいのと、Wi-Fi(無線LAN)は電子レンジなどの家電の干渉を受けやすいため、可能な限りLANケーブルでの有線接続を推奨します。
オペレーターによっては自宅のネット環境が整っていない場合もあるため、企業側で通信費の補助を行うケースも珍しくありません。
設備④コミュニケーションツール
在宅でのコールセンター業務では、メンバーをつなぐツールも必須となります。
業務連絡用のチャットツールと、顔を合わせるWeb会議システムの両方を用意しましょう。特にチャットは、通話保留中の指示出しに頻繁に使われる重要なツールです。
また、業務以外の雑談専用チャンネルを設けるなど、孤独感を解消するための施策も欠かせません。テキストだけでは伝わりにくいニュアンスを補完するため、スタンプ機能を活用するなど、心理的安全性を高める工夫も求められます。
在宅コールセンター導入の流れを4ステップで解説

在宅コールセンターを構築する場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。無計画な導入は現場の混乱を招きます。導入から安定稼働までの基本的な流れは以下の4ステップです。
- どの業務を在宅かするか明確にする
- システムの導入
- セキュリティ環境の整備・ルール策定
- スモールスタートと効果検証
それぞれのステップについて詳しく解説します。
ステップ①どの業務を在宅化するか明確にする
まずは業務の棚卸しを行い、在宅化する範囲を決めましょう。
全ての業務をいきなり在宅化するのではなく、「問い合わせ内容が決まっているFAQ対応」や「個人情報を扱わない一次受付」など、移行しやすい領域から選定するのがポイントです。
クレーム対応などの高度な判断が必要な業務はオフィスに残すなど、リスクを考慮した切り分けが重要といえるでしょう。目的と照らし合わせ、現実的な範囲を決定してください。
ステップ②システムの導入
次に、決定した業務範囲に合わせてシステムを導入します。
クラウド型CTIを中心に、CRM(顧客管理システム)やチャットツールを連携させましょう。その際、既存環境との互換性やVPN導入などの検討も欠かせません。
導入時には必ずトライアル期間を設け、実際の自宅環境で音声品質や操作性をテストしてください。「自宅のネット回線だと音声が途切れる」といった問題は、実際に試してみないと発見できないからです。
ステップ③セキュリティ環境の整備・ルール策定
システム導入が完了したら、ガイドラインを作成して誓約書を交わします。
OS更新の義務化や業務外サイトへのアクセス禁止、離席時の画面ロックなどを徹底しましょう。物理対策として、のぞき見防止フィルターの配布も有効です。
また、万が一の情報漏洩に備えて、緊急時の対応フローも事前に決めておく必要があります。「誰にどう連絡するか」を明確にしておかなければ、初動が遅れて被害が拡大しかねません。
ステップ④スモールスタートと効果検証
運用準備が整ったら、まずは少人数での試験運用を始めます。1週間程度実施し、通信や業務フローの問題点を洗い出してみてください。「チャットに気づかない」「マニュアルが分かりにくい」といった、隠れた課題が見えてくるはずです。
課題を改善し、マニュアルを修正しながら徐々に規模を拡大していきましょう。現場の声を聞きながら進めることが、在宅コールセンター運用を成功させる近道となります。
在宅コールセンター運用の注意点
在宅コールセンターの運用フェーズにおいて、特に注意すべきなのが「応対品質の維持」と「コミュニケーション不足」です。これらを放置すると組織力が低下するため、継続的な対策が必要です。それぞれの注意点について詳しく解説します。
注意点①応対品質が不安定になりやすい
在宅コールセンターでは、SVがすぐ横にいないため、オペレーターの応対品質にバラつきが出やすくなります。
品質を維持するためには、CTIの録音機能を使い、定期的にフィードバックを行ってください。SVはランダムに通話を聞き、良かった点と改善点を具体的に伝えます。また、優秀なオペレーターの通話録音をチームで共有し、お手本として学習させることも有効でしょう。
さらに、FAQやトークスクリプトをクラウド上で常に最新の状態に保ち、変更点は朝礼やチャットですぐに周知徹底しなければなりません。オペレーターが迷わずに正しい情報を案内できる環境を整えることが、クレームを未然に防ぐ鍵となります。
注意点②コミュニケーション不足
対面での接触がない在宅勤務では、業務連絡以外のコミュニケーションが希薄になりがちです。その結果、チームの一体感が失われるリスクも高まってしまいます。
業務効率だけを追求するのではなく、意識的に「雑談」の場を作ってみてください。例えば、始業時と終業時にWeb会議で顔を合わせて挨拶をする時間を設けたり、ランチタイムに自由参加のオンラインランチ会を開いたりするのも良いでしょう。
チャットではスタンプを活用し、感謝の言葉を意識的に伝えるなど、管理者が率先して話しやすい雰囲気を作ることが大切です。心理的安全性の確保が定着率の向上につながり、孤独感による離職を防いでくれます。
在宅コールセンター構築の課題はアライブネットにお任せください
在宅コールセンターは、人材不足の解消やコスト削減、BCP対策など、現代の企業が抱える課題を解決する強力な手段です。しかし、成功のカギは「自社の課題に合った最適なシステムの選定」と「無理のない運用体制の構築」にあるといえるでしょう。
「多機能なシステムは高額で手が出ない」「コストは抑えたいが、セキュリティや管理機能は妥協したくない」「インバウンドもアウトバウンドも1つのシステムで完結させたい」
このようにお考えの企業担当者様には、アライブネットのクラウド型CTIシステム「Voiper Dial」が最適です。
Voiper Dialが在宅コールセンター運用に最適な3つの理由
Voiper Dialが在宅コールセンター運用に最適な3つの理由を簡単にご紹介します。
- 管理機能が標準搭載
在宅運用で必須となる「全通話録音」「リアルタイムモニタリング」「ウィスパリング(ささやき)機能」が、すべて標準機能として備わっています。追加オプション料金なしで、オフィス同様の品質管理とオペレーターサポートを実現可能です。
- インバウンド・アウトバウンド両対応
受信業務(ACD/IVR)と発信業務(プレディクティブ発信/オートコール)の両方に対応しており、業務内容に合わせて柔軟に設定可能です。CRM(顧客管理システム)連携機能も備えており、顧客情報を活用した効率的な対応が実現します。
- 柔軟なスケーラビリティ
クラウド型のため、必要な席数分だけの契約でスタートできます。繁忙期だけの増席や、スモールスタートからの拡大にも柔軟に対応可能です。最低5ブースからの導入が可能で、無駄なコストを抑えられる点も魅力といえます。
Voiper Dialご利用料金
Voiper Dialは、クラウドサービスのため高額な初期投資は不要です。必要なライセンス費用のみで、手軽に導入いただけます。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 初期費用 | 10,000円/ブース |
| 月額費用 | 10,000円/ブース |
※最低利用は5ブースからとなります。
※PCやインターネット回線はお客様ご自身でご用意いただきます。
「まずは使用感を確かめたい」「自社の運用フローに合うか相談したい」という方は、ぜひお気軽にアライブネットまでお問い合わせください。コールセンター経験が豊富な担当者が、貴社の課題に合わせた最適なプランをご提案いたします。
