IP回線とは?光回線・アナログ回線との違いと導入メリットを解説

「毎日業務で使っている固定電話の通話料金が高い」と悩んだ経験のある方もいるのではないでしょうか。電話回線をIP回線に切り替えれば通話料は抑えられます。しかし、具体的な方法について知らない方もいるでしょう。
営業電話や取引先とのやり取りなど、社内での電話業務が多ければ多いほど、毎月固定電話にかかるコストは高くなります。
IP回線を使った電話サービスはさまざまな事業者が提供しており、最適なものを選べば通話料を下げることが可能です。
本記事では、IP回線を使った電話や、利用するメリット・デメリット、費用相場などを解説します。社内での通話料にお悩みの企業担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
IP回線とは?仕組みについて解説

IP回線とは、インターネットプロトコルという通信のルールを使ってデータをやり取りする回線のことです。私たちが普段インターネットを利用する際にも、このIP回線が使われています。
IP回線を使った代表的なサービスが「IP電話」です。IP電話は、音声データをインターネット上でやり取りする仕組みで、従来の電話網ではなくインターネット経由で通話をおこないます。
音声は「VoIP」と呼ばれる技術でパケット化され、専用の機器(VoIPゲートウェイ)を通じて送受信されます。
通話内容は一度IPパケットに変換され、IPネットワーク上を移動し、相手側で再び音声に戻される流れです。
IP電話には050番号を用いるものや、03、06などの市外局番を使うサービスなど複数の種類があります。
アナログ回線はすでにIP回線に移行している
従来の固定電話で使用されていたアナログ回線は、2025年1月時点ですでにIP網回線に移行が完了しています。そのため、現在の固定電話はIP回線を通して利用されています。
アナログ回線を使った電話は、通話専用の回線を使い、通話品質が安定しているのが特徴でした。しかし、相手との距離が遠くなると中継局が増えるため、通話料が高くなる欠点がありました。
一方で、IP回線を使った電話は、インターネット回線を経由するため、距離による料金の変動がありません。全国どこにかけても料金は一律です。
参考として、NTT東日本のIP網による固定電話では、通話料は全国一律で3分あたり9.35円となっています。
IP回線と光回線の違いとは?
IP回線とは、インターネット上でデータを送受信するための通信のルール(インターネットプロトコル)に基づいた回線のことです。この仕組みを使えば、音声や動画など、さまざまなデータをやり取りできます。
IP回線には複数の種類があり、その一つが光回線です。光回線は、光ファイバーケーブルを使ってデータを光信号として伝送する方式で、非常に高速で安定した通信が可能です。
電磁波の影響を受けにくく、通信速度が早いため、多くの企業や一般家庭で主流の回線として利用されています。ただし、光回線が引き込まれていない場合は、新たに引き込まないといけなかったり、初期工事が必要になったりするため、導入前の確認が必要です。
光回線を活用したIP電話サービスの代表例が「ひかり電話」です。ひかり電話も、インターネットを通じて通話がおこなえる仕組みとなっています。
IP回線は光回線も含めた、インターネット上の通信を活用した回線の総称であるといった違いを押さえておきましょう。
IP回線を利用した電話サービスを利用するメリット

IP回線を利用した電話サービスを利用する主なメリットは以下の5つです。
- 電話に関するさまざまな便利機能が使える
- 場所を問わず利用できる
- 電話加入権を購入せず利用開始できる
- 初期費用が安い
- 事業者ごとの独自サービスを選べる
それぞれのメリットについて以下で解説します。
電話に関するさまざまな便利機能が使える
IP回線を使った電話サービスには、通話録音や文字起こし、通話データの分析といった便利な機能が備わっている場合があります。これらを活用すれば、オペレーターの応対品質をチェックしたり、クレーム時の事実確認として活用できたりします。
たとえば、通話録音機能があれば、あとから会話内容を確認でき、対応改善に役立てることが可能です。文字起こし機能を使えば、通話内容をテキスト化し、検索や報告作業をスムーズ化できます。
また、通話件数や成約率などを可視化する分析機能が備わっている電話サービスを使えば、架電業務全体の効率化にもつながります。
場所を問わず利用できる
IP回線を使った電話サービスは、インターネット環境さえあれば、場所を問わず利用できる柔軟性があります。オフィスに限らず、自宅や外出先でも業務用の電話番号を使って通話ができる電話サービスも存在します。
たとえば、テレワーク中でも、パソコンやスマートフォンから電話ができるようにしておけば、オフィスにいるのと同様の業務が可能です。
このように、働く場所に縛られず柔軟な業務体制を構築できるのもIP回線の大きなメリットです。
電話加入権を購入せず利用開始できる
従来のアナログ回線を使った固定電話を利用するには「電話加入権」の購入が必要でした。しかし、IP回線を使った電話サービスではその必要はありません。
050から始まるIP電話であれば、無料で取得できる場合も多く、新たなコストを抑えて導入できます。
また、03や06といった市外局番を取得する際も、アナログ回線を使った固定電話のように高額な電話加入権は不要です。企業が新しく拠点を設ける場合や、コストを抑えて電話環境を整えたい場合に便利です。
導入ハードルの低さは、スタートアップや中小企業にとって大きな魅力となるでしょう。
初期費用が安い
IP回線を利用した電話サービスは、初期費用の負担が少なくて済むのが特徴です。インターネット環境が整っていれば、新しい電話機を用意したり、複雑な工事をしたりする必要なく利用できます。
たとえば、パソコンやスマートフォンに専用アプリを入れるだけで、すぐに使い始められるケースもあります。
また、工事が不要なサービスを選べば、導入までの時間も短縮することが可能です。少ないコストでスピーディーに導入したい企業によっては非常に効率的な手段です。
事業者ごとの独自サービスを選べる
IP回線を利用した電話サービスは、複数の事業者が提供しており、それぞれ独自の機能や料金プランを展開しています。そのため、自社の業務に合ったサービスを自由に選べる点がメリットです。
たとえば、クラウド管理機能や自動発信機能、モバイルへの対応など用途に応じて多彩な機能を使用できる事業者も存在します。
さらに、キャンペーンや割引制度を用意している事業者であれば、運用コストもさらに抑えられるでしょう。
IP回線を利用した電話サービスを利用するデメリット
IP回線を利用した電話サービスは多くのメリットがあり、業務効率化にも役立つ一方で、以下のデメリットも考慮しておく必要があります。
- 音声品質や安定性がインターネット回線に左右される
- 停電時に利用できない
- サービスによってかけられない番号がある
- セキュリティ対策が必要
それぞれのデメリットについて、以下で解説します。
音声品質や安定性がインターネット回線に左右される
IP回線を使った電話サービスは、インターネット回線を利用して通話するため、音声品質や接続の安定性は回線の状況に大きく左右されます。
たとえば、接続しているWi-Fiの電波が弱かったり、ネットワーク障害が発生していたりすると、通話が途中で途切れたり、雑音で音声が聞き取りにくくなったりする可能性があります。
とくに、業務中にこうしたトラブルが起きると、顧客対応にも支障が出てしまう可能性もあるでしょう。
そのため、IP電話を導入する際は、回線の安定性を確保することが重要です。
停電時に利用できない
IP電話は、電源を必要とするインターネット回線を経由して通話をおこなうため、停電時には利用できません。
一方、アナログ回線を使った固定電話は、電話線からの電力供給により、停電時でも使用できる場合がありました。
災害や停電が発生した際、連絡手段が途絶えるリスクがあるため、あらかじめ停電対策を講じておくことも検討しましょう。
たとえば、業務に支障が出ないように、非常用電源の確保なども考慮しておくべきです。
サービスによってかけられない番号がある
一部のIP電話サービスでは、110番や119番といった緊急通報への発信ができない場合があります。これは、IP電話がインターネット経由で通話をおこなう関係上、発信者の位置情報を伝える仕組みになっていないからです。
ただし、事業者によっては緊急通報が可能なIP電話サービスもあるため、利用前に必ず確認しておきましょう。
セキュリティ対策が必要
IP電話はインターネット回線を利用しているため、不正アクセスなどのリスクもあります。
総務省によると、実際に、第三者に勝手に国際電話を発信され、高額な通話料を請求された事例も報告されています。
出典:総務省「第三者によるIP電話等の不正利用に関する注意喚起」
そのため、第三者によるなりすましや不正アクセスを防ぐためにも、日頃よりルーターやPBX(電話交換機)のソフトウェアを最新にする、IDやパスワードの管理を厳重にするなど、社内の情報を守る体制づくりが重要です。
IP回線を利用した電話サービスの費用相場
IP回線を利用した電話サービスの相場は、選ぶサービスによって大きく異なります。初期費用は無料のものから約3万円まであり、月額料金は1,000円〜7,000円程度が相場です。
ユーザー数が多くなると、それに比例して月額料金や初期費用が高くなる傾向にあります。
そのため、自社の規模や通話の利用頻度に応じて、最適なプランを選ぶ必要があります。コストだけでなく、必要な機能が揃っているかもあわせて比較検討しましょう。
IP回線を利用した電話サービスのよくある質問
IP回線を利用した電話サービスについて、よくある質問と回答をまとめましたので、ご紹介します。
IP電話は電話加入権が必要ですか?
IP電話を導入する際には、従来のアナログ回線で必要になった電話加入権を取得する必要はありません。アナログ回線では、03や06などの番号を使うためには数万円の電話加入権を購入する必要がありました。
しかし、IP電話は、050番号などを無料で取得できるケースも珍しくなく、03や06の発番にも高額な費用を必要としなくなりました。
そのため、導入コストを抑えながら電話業務を始められる点がメリットです。
IP電話はアナログ電話と比べてなぜ安いのですか?
IP電話はアナログ電話と比べて通話料が安いといわれています。その理由としては、インターネット回線を利用している点にあります。
従来のアナログ回線を使った固定電話では、通話する相手との距離が遠いほど交換局を中継するため、通話料も高くなる傾向がありました。
一方で、IP電話はインターネット回線を経由して音声データのやり取りをおこなっているため、相手がどれだけ離れていても通話料は変わりません。
つまり、距離による料金変動がなく、全国一律で通話できる点が料金の安さにつながっています。
050とIP電話の違いは何ですか?
050番号とはIP電話の一種で、インターネット回線を使って音声通話をおこなうサービスです。ひかり電話のように、03や06など市外局番を使うIP電話と違い、050番号は地域にとらわれず利用できます。
ただし、050番号のIP電話は110番や119番などの緊急通報に対応していない場合がある点には注意しましょう。
また、050番号は人によってはあまり見慣れない番号のため、迷惑電話と誤解される可能性もあり、ビジネス用途では信頼性が課題になるケースもあります。
利用用途や求める機能に応じて、050番号と市外局番のどちらが自社に適しているか検討しましょう。
通話コストを抑えてIP回線導入するなら「アライブネット」にお任せください
今の固定電話にかかっている通話料金を下げたいが、どのようにすればよいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そのような場合はアライブネットの「AliveLine」がおすすめです。
AliveLineは、既存のPBX(電話交換機)やCTIシステムはそのままで使い始められるIP電話サービスです。CTIシステムとは、電話とコンピューターを連携させるシステムのことで、通話録音機能や自動発信機能、自動文字起こし機能など電話業務に関する便利機能が使えます。
AliveLineを利用すれば、毎月の通話料を70%〜20%カットできます。具体的には、1分あたりの通話料が2.6円、携帯電話への通話でも1分あたり12.5円の低コストを実現しているため、他社よりも通話コストを抑えることが可能です。
万が一現在のシステムがAliveLineに対応していない場合でも、アライブネットが提供しているCTIシステム「Voiper Dial」とのセット導入ができます。Voiper Dialには、発信の自動化や通話内容の録音、レポート機能など、電話業務の効率化を支援するさまざまな機能が搭載されています。
IP回線とCTIシステムの最適な組み合わせと通話コストの削減を実現できるのが、アライブネットの強みです。固定電話の通話料にお悩みの方は、一度アライブネットにご相談ください。
まとめ
IP回線を使った電話サービスは、インターネット回線を活用して相手と音声データをやり取りする通信手段です。すでにアナログ回線もIP網へと移行されており、今後の固定電話の主流はIP回線になるといえます。
本記事では、IP回線の仕組みやアナログ回線、光回線との違いについて解説しました。通話料の削減を検討している企業にとって、IP回線を使った電話サービスの利用は効果的です。
IP電話はさまざまな事業者が提供しており、料金体系や機能もさまざまです。アライブネットが提供しているAliveLineやVoiper Dialを活用すれば、IP電話のなかでも、さらなるコストダウンと業務効率化が期待できます。
通話コストの見直しを検討している方は、ぜひ一度アライブネットにご相談ください。